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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第十一話『肉まんとおでんがウマい』
61/88

#60


「うぅぅぅぅぅぅ……」


 頭抱えてまで叫びを上げちゃう俺。悲しいけど、出し物が執事喫茶になってしまったのは事実なのよね。受け入れないと、頑張らないと――。


「そ、それでさ、エリカ。まずは何をしたらいいの?」

「うーん。調理器具は用意できてるんだよね。だからあとは、買い出しかな」

「買い出しかー……」


 エリカに何をしたらいいか聞いてみたところ、買い出しに行ってほしいとお願いされた。先程執事のコスチュームに着替えたのだが、まさか――このままで行けっていうのか!?


「ってちょい待ちちょい待ち! このまま行けっていうのか!?」

「うん、そうよ。また着替えたら、手間がかかるでしょ?」

「それはそうだけど、でも……」

「まあ、そういうことだから行ってきて!」

「はーい……」


 正直不本意である。だがこれもエリカを喜ばせるためだ。仕方がないんだ――。



「イヤッフウゥゥゥゥ!!」


 思いきって俺は学校を飛び出し、買い出しへと向かう! テンションは最高潮に達している――。もはや誰にも止めることは出来ないのだ。


「もう何も怖くねえ! 人の目を気にする必要なんかねえ!!」


 走って、飛んで、叫ぶ。傍から見ればただの変質者に見えるだろうが、そんなことは関係ない。俺は行くぞ。この格好のまま――買い出しへ。


「えーと……」


 学校の付近にあるスーパーの中。エリカから渡されたメモを見ながら俺はショッピングを進めていく。カフェオレを作るためのコーヒーの素にケーキミックスや生クリーム、トッピングに使うチョコレートにイチゴ、それから適当にジュース――って結構多いなぁおい! 代金は受け取ってあるけど無駄遣いは出来ない。ケーキやコーヒーに使う材料は入れたから、次はジュースだ。

 エリカは確かこう言っていたな。「メニューはまず、ショートケーキとかカフェオレとかは確定してるの。次はドリンクね。ドリンクはマサキくんが買ってきたものを見てから決めます」と。――つまり、好きなものを買ってきてもよろしいという解釈でいいのかな。そういやお肉も焼くとか言っていたが――あ、肉は確か家庭科室に在庫があったな。肉々しい。いつかは上手にこんがり焼けた肉を食ってみたいものだ。男らしくワイルドに!


「ジュース、ジュース、じゅーうーすっと。へへっ、何にしようかなぁ!」


 さあ次はお待ちかね、ドリンクだ! 本当に何にしようか迷っちゃうねぇ。炭酸飲料にオレンジジュース、ぶどうジュースに牛乳。フルーツオレに天然水。そしてお茶。あ、お茶はあったね。それにしてもペットボトルはいくついるだろうね。確かオレンジジュースやぶどうジュースとかは用意してあったと思うし、やはりここは炭酸か。メロンソーダが欲しいところだが――


「喫茶店ならメロンソーダが欲しいところだねー。あり? ない……」


 ――ない。メロンソーダなんて上等なもんは置いていない。コーラやサイダーとかの庶民的で馴染みの深い奴なら置いてあるけど――まあいいや。コーラとサイダーと、それからファ○タグレープでも買っていこう。炭酸が飲めない人がいるんなら、その人には別のを出せばいいからね。


「ふぅ……一応これで全部だな」


 メモに書かれていたものはすべて買えた。これでおつかいもおしまい――と、レジへ向かいお金を払う。おこづかいは五千円ほどだったんだけど、お会計は合計で三千円。割と余裕を残せたな。


「あっ……」


 学校へ戻って家庭科室へ向かう途中、ふと足首まで黒い髪を伸ばした赤い瞳の女の子と視線があった。彼女の名は神永さん。髪が長けりゃお胸も大きく、足もすらりとしていて美しい。


「君は神永さん!」

「マサキく〜ん! あれ、なんでそんな執事みたいな格好してるの?」

「あ、これ? うちのクラスは執事喫茶っていうのをやることになったんだ。神永さんのクラスは何やるの?」

「私のクラス?」


 人差し指を口に添える神永さん。ちょっと悩んだあと、彼女はなんと答えたと思います? ま、すぐにわかるんだけど……。



「1年E組はおばけ屋敷やるんだよ〜♪」


 急に目付きが怖くなったと思ったら、聞いたら呪われそうな声で神永さんは答えた。や、やめて。神永さんがおばけをやったら洒落になんないから。いろんな意味で。


「そ、そうなんだ……」

「あんまり怖くないと思うから、良かったら遊びに来てね! 楽しいよー!」


 表情をコロッと明るいものに変えて神永さんは去っていった。ど、どうしようかな。あんまり怖くないなら行ってみようかな――。


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