#6
第二話『俺の妹がこんなに可愛いわけがあるだろ』
「ただいま~!」
「おかえり、バカ兄貴~♪」
「えーっ……」
やあ。オレは刃野マサキ。これ、決して罵られてるんじゃないんだよ。妹の、不器用なりの愛情表現なんだぜ。かくして、俺を罵るかのように、そう出迎えてくれたのは――正真正銘、世界にたった一人の妹だ。
「なあ、ルミ~。いい加減、俺の事さー、『お兄ちゃん』って呼んでくれちゃったりしてくれないかなー?」
「ヤダ! あたし、そんなガラじゃないもん」
俺のお願いには聞く耳持たぬ。妹はえへへと笑いながら、見事になじってくださいました。――ひっで! ひどくない? ひどいと思うよね……。
でも、それが妹のいいところだ。ツンデレの妹なんて、最高ではないですか。それにお母さんはおっとりした美人妻で巨乳。やっぱ俺って、まじリア充!
そうそう、彼女の名はルミ。漢字で書けば『留美』。リューミンじゃないぞ……。って、それだったら中国人になっちゃうね。でもそれでいくとセレブになるし、まあいっか。
「そう言わなくてもいいじゃないか。ねぇ?」
「ヤダヤダ。兄貴ったら、だらしないんだもん!」
またまたー。しかしだ。たとえ容赦なくなじってくれても、踏まれたり蹴られたりしても、お兄ちゃんは諦めないぞ。何せ、妹はデレよりツン成分の方が強めなのだ。いつもこんな感じなのだよ。
ひでェと思うか、むしろご褒美として受け取るかは――、モニターの前のキミ次第だ。おい、見てるんだろ? 知らんぷりしたってね、筒抜けだぜー!
「素直じゃないなー、ルミよ。お兄ちゃんはな、お前に俺の事をお兄ちゃんって呼んでもらうまで絶対に諦めないぞォ~?」
――え? 『そういうお前はどうなんだ』って?君もバカだなー。だいたい分かってるはずだよ。妹の成長を願うならば――恐らくは、いや……絶対に後者だッ
どんな罵言雑言でも、どんなになじられようとも、どんなに、どんなに叩かれたり蹴られようとも――。いつも16時前か17時半に帰ってくる俺へのご褒美だと考えれば、苦にならないッ!
「へへ~んだ。やれるもんなら、やってみなよー」
ふふふ――。そうは問屋が卸さない。さあて、ウチへ上がろうかの。
※補足
なぜ留美で『リューミン』なのかと言うと…
『機動戦士ガンダム00』という作品に、『王 留美』というキャラクターが登場するのですが、
それと『留美』をかけたネタです。
中国で留美さんはリューミンっていうんでしょうな、うん。