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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第九話『3Dは目に悪い』
52/88

#51


 長い夏休みはまだまだ続く。楽しいこともまだまだ続く。でも宿題はまだまだ終わらない――。


「あーーっ、ダメだ。今日はもうダメだ、宿題やってらんねー」


 宿題っちゅうのを早く終わらせるにはひたすらにやり続けるしかない。ツラいよなぁ。苦しいよなぁ。だけど皆この地獄の苦しみを乗り越えてきたんだ。おれも何とかしなきゃな――。


「そういやおじいちゃんがこう言っていたな……『宿題を終わらせる方法は、宿題をやり始めることだ』って」


 ――またまたおじいちゃんの言葉を引用してしまった。いま思えばすごく良いじいちゃんだったなぁ。小さい頃はワケわからんことばっかり言うジジイって印象しかなかったけど、ホントは哲学的かつタメになる話をいっぱいしてくれる良いじいちゃんだったんだよな……もっと早くに気付いておくべきだった。まだおじいちゃんは生きてるけどね。


「……でも今日はここまで。気分転換にゲームやろーっと!」


 本体をセットしてテレビやコンセントに配線を繋ぎ、ゲーム・スタート。じいちゃん、すまぬ。ここまで宿題を頑張ってやってきたから、今日ぐらいは遊ばせて。


「うわ、もう十機なくなっちゃった……結構難しいんだよなぁ、これ」


 俺がいまやってるこのゲームは、ここ最近のゲームの中ではすごく難しい部類に入る。だが、あまり理不尽さは感じられない。理由は道中で死にすぎてプレイヤーのストレスがたまらないように、ステージをクリアできないプレイヤーへのお手本プレイやヒント機能などのヘルプが充実しているからだ。要するに理不尽じゃない死にゲーであり覚えゲーである、ってことだな。うん。


「よっしゃあと少し……って、あっ! あーっ! やられたーーッ!!」


 でもヘルプが充実してるからって油断しちゃいけない。その辺は難易度高めのアクションゲーム、油断してたら今の俺みたいになっちゃうんだぜ。俺も次から気を付けよう……。と、そんな折、携帯電話から着信音が鳴り響く。プレイ中に鳴る携帯電話ほど嫌なものもないけど、ここは出なきゃな。


「もしもーし!」

「おぅ、マサキ。オレだよオレ、リョウだよ」

「おっ、リョウか! なになに?」

「今日商店街の方で夏祭りあるんだよな。オレは行くけどお前も来るか?」

「行く行く!」

「オッケー、わかった。オレは神戸のやつ誘ってくから、お前はエリカさんかアヤさん辺り誘ってみな。じゃあな!」


 電話は俺のクラスメートであるリョウからのものだった。あいつとは高校に入ってから知り合った仲なんだよな。あいつが言ってた神戸ってのは、俺の幼稚園時代からの友達だ。二人とも気さくで面白いんだよな。


「夏祭りかぁ〜。金魚すくいに射的に輪投げ、それからウマいもんがいっぱい! 夏の醍醐味だよなぁ、誰を誘おっかな。へへへ」


 いやあ、楽しみ! さてさて、こっからどうしようかね。ムフフ――。



「ここかぁ、祭りの場所は?」

「ま、マサキ! 早いなあ。電車混んでなかった?」

「おっ、結構早かったなマサキ!」

「いやあ、お待たせ!」


 所変わって夏祭りの場所。射的に輪投げ、それから綿菓子。いろんな屋台が立ち並び、夜の町を星空とカラフルなちょうちんがステキに彩る。実に楽しげで華やかだなぁ――。今日はお駄賃もたっぷりもらってきた事だし、楽しんでいこうやないの。


「……んで、マサキさ」

「なんだ?」

「あのさ、なんでさ……なんで両脇に女の子を侍らせてるの?」


 レンがうらやましそうに言う。彼が言う通り今の俺の隣には、女の子が二人いる。髪が青くて瞳が緑色、ピンクの浴衣を着ているのが橘アヤさん、地面に届きそうなほどながーい黒髪をなびかせていて瞳が赤く、藤色の浴衣を着ているのが神永さんだ。どっちもきれいだわー! とくに神永さんは、浴衣がデフォの服装でいいぐらい似合ってる!


「マサキくんから電話来たの。一緒に夏祭り来ないか、ってね」

「わたしもマサキさんから誘われたの♪」

「そ、そうなんだ。すごいな……」

「く、くそっ……いつの間に神永さんやアヤさんと仲良くなったんだ」

「へへへ、うらやましいだろう」


 悔しがるリョウとレンを見るのは、何とも気分がいい。だが、このままだと可哀想である。どこかで彼らにいい思いをさせてやらねばなるまい。ちなみにエリカも誘おうとしたけど、姉のエリノ先生と一緒に回りたいとのことでお誘いを断られてしまった。ま、仕方ないよね。とりあえずはこのメンツで回りましょ。


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