#40
「うぇー。いま何時だっけ? げっ! もう0時前じゃねえか!」
俺は基本的に夜更かしは休日以外はしない。平日になぜしないのかというと、その理由はちゃんと起きられる自信がないからである。だからすぐに寝るように心がけているんだ。
しかしながら、翌日が休みだった場合は余裕で起き続けます。やってみてあまりいい気分にはなれないけどね。リョウやレンみたいに夜中に起きてまで深夜アニメなんか見ないし。
というか録画する派だし。そう考えるとやっぱり、いつでもそういうのが見られるインターネットって便利なんだなぁ。パソコンあってよかったわ、そう思いつつ――わしは寝るぞ!
「寝よう寝よう。そうしよう!」
パソコンの電源を切りコンセントも抜く! これで節電するのだ。寝てる間は電気使わないからもったいないよねぇ。
だからそうするのさ! 皆さんも是非節電を心がけてほしい。名付けてヤシマ作戦だ、どこかで誰かが電力不足に頭を抱えているかもしれない。だから省エネでいくのだ。俺が節電する!!!
――翌日――
「おはよー……」
「マサキくん、おはようっ。目の下にクマできてるけど……一体どうしたの?」
「はひょ。クマさん? えっとね、その……俺さ、昨日夜遅くまで起きてたんだよ」
「えーっ! そういうの控えたほうがいいよ」
朝から麗しの学級委員であるエリカ様が出迎えてくれた。せめて生真面目な彼女の前でくらいは俺もまじめにしねぇとなあ――うん。
「……ふーん。珍しいな」
「なにジロジロ見てる!」
「いや……お前もついに夜更かしに目覚めたか、って思ってさ」
「そんなんじゃない! 昨日はたまたま夜中まで起きてただけだ」
リョウの奴め、思ってもいないことをぬかしやがる。ちょっと苦しい言い訳みたいだが本当のことである。だから俺は悪くない。悪くないんだ!
いつも多目に見てるけど今日ばかりは無性に腹が立ったから、別の人と一緒に食べようかね。いーやそれがいい、そうと決まれば実行だ!
「あら、マサキくん。今日は氷室くん達と一緒に食べないの?」
「まあね。たまには気分転換もしたいなって思ってさ」
「へぇ、そうなんだ。珍しいわねー」
――というわけで。今日のお昼はせっかくなので、勇気を出して女子と食べることにした。
お相手はみんなが憧れる学級委員・エリカと、その友人で百合疑惑が一部でかけられている橘アヤさんだ。
仲の良さそうな二人の間に入ってガールズトークを邪魔してしまうのは少し気が滅入るが――仕方がない。
「あっ。マサキくんのお弁当おいしそう!」
「すごーい! これ、自分で作ったの?」
「ううん、母さんに作ってもらったんだ」
「卵と一緒にほうれん草焼くなんて、なかなかいい線いってる! マサキくんのお母さんに弟子入りしてみたいわー」
「マジ!? 母さんにまた言っとくねー!」
エリカとアヤさん、どちらが喋っているか分かりづらい人もいると思うんでここで一応補足を入れておこう。
明るくて純真な方が山科エリカちゃん、明るくて少し大人びてる方が橘アヤさんだ。って、どっちも明るい子やないかーい!
「はい、これで大丈夫ですよ。もしまた痛み出したり、ガーゼが剥がれたりしたら、また先生に言いに来てね〜」
「はいッ! ありがとうございます!」
「いえいえ〜」
――今日は午後から体育でバスケがあったのだが、その時に足をくじいてしまったのだ。なので慌てて保健室へ行ってエリノ先生に診てもらったというわけだ。
しかし、未だに姉妹そろってフラグが立たぬ。姉も妹も鈍感なのか、それとも俺がフラグを立てるのが下手だっていうことなのか?
ちょっと考え事をしながらも俺はそろそろと保健室を出た。しかし、相変わらずエリノ先生はエロ……あ、いや、若くてきれいだったなぁ。あれでまだ独身だなんてもったいないよ。
「オゥ、刃野。おまえエリノ先生になに診てもらったんだ?」
「寺辺か。何かって、うーん……恋わずらい?」
「ウソをつくなーッ!!」
氷室です。
夏休みシーズンが迫りつつあるんだけど、これが楽しいのって途中までなんだよなぁ。
終わりが近付けば近付くほどもどかしくなるっていうか、不安になってくるっていうか。
緊張感がすげーんだよなぁ……。だからといって永遠に続いたら流石にダレちゃう気がするしなぁー。うーん。
複雑ッスよねぇー。皆さんはどんな夏休みを過ごしましたか? そのときの体験談とか教えてほしいんで、そういうことなんでよろしくッス。
次回は……『アツがナツい!』 ちょっ、おま……これは寒いだろー!