#4
「違う……だと……?」
リョウどうした。お前マジでどうしたんだ。俺もちょっとヘンだけど、お前はもっとその――ハイになっちゃったの!? リョウはクールキャラじゃなくなってるし、俺は普通に行こう……
「なあ、何なの? 違うなら何なの? ねえ教えて。教えてちょ教えてマジ教えて!!」
助詞がない? ――そんなの知るか。何故なら俺はこのときキョドるあまり冷静さを欠いて錯乱していたからさ! ほらこんな感じ何となく分かるだろ? え分からない? やだなー文章だけでも伝わるよな伝わるよなあ伝わら……ない?
「ふっふっふ。教えたところでマサキくんには分かるまいよ」
俺がキョドるのを見て嬉しそうに、レンは自分が借りて来た本を出した。ケッ、インテリぶっちゃって! お前普段ボケてるくせに、何で今日に限ってはこんなに冴えてるんだ。
「あっ! そ、それは……」
俺が面食らうのも無理はない。何故なら、それは俺の愛読書――
「じゃじゃじゃーん。なんと『デイブレ』の最新刊だッ!!」
『DAYBREAK OF DARK』――略してデイブレ。副題は『闇の夜明け』。ジャンルは王道の冒険小説で、
評価は人によってまちまちだが、俺はとてもいい作品だと思っている。それはレンもリョウも同じだ。多分。
「おい、待てよレン。それ確か、いわゆるラノベの類だったよな? なんでラノベが図書室にあるんだ? 本屋さんの間違いじゃ……」
「うるさいうるさいうるさーいッ! 人の話を聞けェ、スケコマシども!!」
リョウがツッコミをすかさず入れた。しかし、自分で自分のクールキャラを自ら崩していることにはツッこまないようだ。――って、おいおい! なんてひどい事を言うんだ、レンのヤツめ。誰がスケコマシだ。俺は女の子にひどいことするようなゲス野郎なんかでは、断じてないぞ!
「とりあえずクールになれよ、リョウ。な?」
「あ、ああ、そうするよ……うん」
「なあ、レン。えっと、それたしか5巻だよな?」
「そう。だから最新刊ってワケ♪」
デイブレについて説明しなければなるまい! 1巻は旅立ちを描いた1章と新天地での冒険を描いた2章。2巻は砂漠の国が舞台の3章。3巻はリーネが初登場する4章と物語が第2部に突入する5章。4巻には洋画のごとくオッサンとスケベ野郎が冒険する6章が収録されている。
そして、最新刊である5巻ではお待ちかね! リーネがメインの第7章が収録されているのだ。内容は海水浴に誘拐に観光に火山の探検――こりゃあ、おもしろいぜ!
ちょっとややこしい形式だが? その章のストーリーが短い場合は2つの章がひとつの章に収録される形式となっているんだ。
リーネは前述の様に4章から登場するんだ。メインヒロインにも引けをとらないどころかヒロインと仲が良い為、イケない人たちが二次創作で百合百合なSSなりマンガなりを同人誌に――
――いかん。俺もどうかしてた。好きな作品を語ったもんだからさ、熱くなりすぎちまったぜ――ちょっと屋上に来いや。松〇修造さん? 誰それおいしいの