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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第七話『11歳の夏』
39/88

#38

「マサキぃー! お前こっち来いよ!」

「ヤダ。ヤダつったらヤダ」


 プールで感じた情熱が冷めやらぬまま迎えた休日。俺たちは例のアニメ○トがあるショッピングモールにいた。

 というか、実は案外寂しがり屋だったリョウに俺とレンが無理矢理付き合わされたのだ。俺もレンもリョウをほったらかしにしてアイスを食べに行ったりユ○クロに行ったりしていたのだが、その都度呼び戻された。

 大変だったんだぞ! 何回全力で走らされたと思っている! アスリートでもないのにこんなに走らされたら、もう足はフラフラさ。


「何でもそろってるぞ。お前らも来いよー」

「この前入ったからいい。それにうっさいの苦手だし」

「僕も興味はある。けどまだそこまで落ちぶれちゃいないよ」


 珍しく盟友と意気投合した瞬間である。いや、盟友だからこそ気が合うのかもしれないが。それからしばらくして、観念したのかリョウは店から出てきた。


「おう、お疲れ。どうだ、何か買えたか?」

「へへっ……何を買うべきか分かんなくなっちまって、結局買えなかった」

「まあそういうときもあるわな。で、これからどうすんの」


 俺がそう聞けば、リョウはなんともパッとしない微妙な表情を浮かべた。どうやらアニ○イトに寄ってから先のことは考えていなかったらしい。

 嘆かわしい! なんと思慮の浅い! そんなんでは世の中やっていけないぞ。――と、うちの父さんならそういうだろう。多分ね。ん? そういえば腹の虫が鳴ったような…………。


「……なあ、お昼まだだっけ?」

「そういえば僕もおなか空いてきたなぁ。みんなどこ行きたい?」

「一階にフードコートあったよな。外にもいっぱいあったけど、あの辺でよくね?」


 腹が減っては戦は出来ぬ。こうして三人一緒に昼飯を食べに行ったのだが――どこも多いじゃないか! こんなに混んでいては並べない、メシも食えやしない!

 もはや日干し並に乾いた笑いしか出ないぞ。幸いドーナツ屋やお好み焼き屋は空いているし、少し待っていればファミレスもひとつぐらいは席が空きそうだ。

 どちらにせよ、食べなければ生き残れない。食べなくても生き残れない! いやダメじゃん、生き残らなきゃ。

 そうだ、これはサバイバル。世の中は弱肉強食なんだ。強ければ生き、弱ければ――死ぬ。でも俺らって強かったかな。

 むしろ弱い方じゃないか? ライオンやトラみたいに優れたハンターで肉食獣でもなけりゃ、カバやシマウマみたいに草食獣だが実は強いってこともないしなぁ。


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