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荒唐無稽ビビッドハイスクール!  作者: SAI-X
第七話『11歳の夏』
37/88

#36

「ふんふふん。ふんふふん。ふんふふっふーん♪」

「ららんららんらん」

「ららんららーん」


 ついに来たぞ、プール開き。この時をどれほど待ったことか。

 俺たちは水着を入れたバッグを手に持って、三人で仲良くハミングしながらプールへと向かっていた。そのぐらい今の俺たちは気分上々なのら〜。さあさ、早いとこプールに向かいましょ。


「おっ、1年の刃野かぁ。それに……そいつら誰だっけ?」

「氷室ですっ!」

「神戸です!」

「あっ、そうそう。そういう名前だったな……もしかしてこれからプールか?」

「もしかしなくてもそうでっす! いいでしょー」


 その途中、2年の朝霧センパイに出会った。

 見た目は如何にも喧嘩に明け暮れた番長といった感じでおっかないが、中身は生真面目で人情味溢れるすごくいい人なのだ。

 その人柄もあってか男女を問わず慕われているそうだ。更に、同学年のしっかりもので真面目な次期生徒会長候補・三ノ宮ユカさんとは息がピッタリらしい。

 なんでも同じ真面目なもの同士、意外とウマが合うんだとか。ちゅーか、そんなに気が合うんなら、もう結婚したらいいんじゃね……?


「ところで、2、3年でオススメな人は誰かいませんか?」

「スク水、スク水!」

「なんだと〜? ……へへっ、お前らも物好きだな。その心意気、気に入った! それじゃ、俺が個人的にいいと思った人を教えよう」

(どきどき……)


 胸躍る瞬間! でござんした。

 俺もそうだが、高校生といえば体がますます大人に近付き、体つきがよくなってくる時期だ。男はムキムキマッスルに、女はムチムチぼいんぼいーんに。

 個人差はあるが基本的にはこんな感じだ。むっちりした体型の人がスクール水着をつけている姿を想像してくりゃんし? こりは個人的な感想じゃが、おなかとか腰回りとかたまらんぜよ。


「先輩のオススメってどんな人? どんな人です〜?」

「まず三ノ宮さんは外せねーなァ。いいトコのお嬢さんで、見た目よし中身もよし。スタイルも抜群、まさにパーフェクトだぜ!」

「さすが次期生徒会長候補だ! すばらしい!」

「他に誰がいたかなァ……そうだ、C組の鳥居本さんもいいぞ。スレンダーな体型で小さすぎず大きすぎず、それからカモシカに例えられるほど美しいおみ足がポイントだな」

「おおーっ。俺の好みどストライクだお……」

「あと誰がいたかなぁ……そうだ、3年の枚方さんなんか超オススメだ。超ついちゃったぜ、超!」

「どんな人ー? 先輩教えてくらはーい!」


 みんなノリノリだった。時間に遅れるのなんかお構いナシだ。この際聞いちゃえ聞いちゃえ。


「名前は平たくて、彼女自身も割と地味で大人しい人だが……実はある部分の自己主張が激しいんだ。それがどこだかわかるか?」

「おっぱい! おっぱ……い!」

「そうそこだよ刃野!」

「えっ、じゃあ太ももとかはどうなんスか?」

「もちろんむっちむちさ!」


 リョウが唾を呑んだ。俺とレンも胸をドキドキさせながらごくりと唾を呑んでいた。

 地味で大人しいけど、巨乳でムチムチだと――? それを聞いて興奮しないわけがないじゃないか。すばらしい!


「ありがとうございました! それじゃあそろそろ行きますねっ」

「おう! 元気に泳いで来いよ!」


 さあ、お楽しみはこれからだ。プールへ行こう!

 実はうちのプールはめちゃくちゃデカい。市民プール並に広いから、のびのびと優雅に泳げるのだ。コースロープかけられたって大丈夫、余裕で潜れちゃうぜ!


「んっふっふっふ……ウォーターボーイズ!」

「気持ちいいぜー!」

「つ、つめたい」


 準備体操をすませ、ダイブだ。個人的にブリーフみたいな海パンはあまり好きではないので、俺はトランクスみたいなタイプの海パンを着用している。

 ただ、でかいから空気が中に入っちゃうんだよなぁ、これが。


「よーし、お前ら! これから好きな泳ぎ方で向こう岸まで競争だ!」

「おーっ!」

「みんな、張り切っていけよー」

「おぉーっ!!」

「ちなみに先生は危ないことが起きないか見張るため泳がないぞー!」

「えーっ」


 せっかくみんなで意気込んでいたところでこれだ。

 それが先生の役目だから仕方がないとはいえ――あんた一応体育教師でしょーに。それでいいのか、長浜先生よ。俺は嫌だ!


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