#30
なぜかわからんが、視界がぼやけて全然見えねー。老眼か? 若年性の老眼なのか? いや、違う。寝起きで目がしょぼしょぼしてるだけだ。とりあえず目薬を差し、ソファーに座る。
「あ、おいしそうだね」
キッチンテーブルにおかずが置かれていた。恐らくママンが、家族のために早起きして作ってくれたんだろう。感謝感激雨あられ! とりあえず、フライポテトをつまんでみた。どこででも売っていそうな感じだったので、冷食と思われる。
「いてっ」
いざ食べようとしたら、ぺちっ! とデコピンされた。やったのはうちのママンだ。
「マサキ、おはよう〜。つまみ食いしちゃダメよ〜。めっ!」
「やっちまったなぁ。デヘヘへ〜、ごめんなさーい」
とてとて、と、ソファーに戻ってテレビを点ける。んー、この番組はとてもハードボイルドな内容らしい。どちらかといえば父さんが好きそうな感じだなぁ。
「これじゃない、違うのにしよう」
次に回したチャンネルでは、昼ドラみたいにギスギスした感じの番組がやっていた。違う、俺が見たいのはこんなのでは断じてない! 仕方ない、変えよっか……。
「母さーん、チャンネル変えていい?」
「うーん。CM入るまでそのままにしておいて〜」
母さんの命令、いや、言うことは絶対だ。逆らったりなんかしないよォ〜。なんて言ってりゃすぐにCMが来た。これは変えざるを得ない! 早速回そう。さて、何チャンにしようか――。とりあえず、アニメが見たいな。アニメにしよう。アニメやってるチャンネルに回すと、こんな朝っぱらからロボットアニメがやっていた。熱いねぇ、おいら男だけどこういうのは好きだよ。……えっ、ルミはどうしたかって? 俺の隣で一緒にアニメ見てるよ。すげえノリノリで!
「あっ、ところでさ」
「なあに」
「今日ってどっか行くんだったっけ?」
「もぉ〜、マサキったら忘れんぼねぇ。今日は家族で海に行くのよ〜」
「う、海……! そうか、海かっ!」
――海。そう、海。海といえば、みんなは何かな……? 俺にとって海といえば、やはり水着のねえちゃんだな。いや、スク水の幼女も捨てがたい。え、そんな話をしたいんじゃなかったって? しゃあないなぁ。そうならそうって先に言ってほしかったな。他にも海といえば、空で輝くお天道様にさざ波、そして定番スイカ割り――。
「ィイイィィヤッフウウウゥゥゥゥ!!!!」
「あ、アニキ!?」
「あらまぁ〜。うふふ……」