#24
「ただいまー」
「おかえり、アニキ。遅かったじゃん?」
「だから……お兄ちゃんと呼びなさい! いつも言ってるだろっ」
「お父さんもう帰ってるよ」
ルミは相変わらず、俺をお兄ちゃんって呼んでくれないのな……
しょんぼりしつつも玄関へ上がり、荷物を置いて着替える。いや待て、アレだ。先に手を洗うべきだよな……?
洗面所で手洗いうがいをすませ、さっそくリビングでくつろぎ、「あー、疲れた!」
「おう、マサキ。お前にしちゃずいぶん遅かったな。どこで道草食ってたんだ?」
「おいら草なんか食べないよ。帰りに友達のリョウ君と、ちょっとア○メイト寄ってたんだ」
言い忘れていたけど、我が家のリビングは広めで、こたつ置くことが前提のコーディネートをしている。
だって冬は寒いだろ、こたついるじゃん……。ストーブもあるけど、あれは灯油入れるタイプだからなあ。クサくて仕方ない。
「おみやげあるか?」
「そう言うだろうと思った」
「なあ、出してくれよ。買ってきたんだろ? 萌えキャラちゃんのグッズを。さあ、わしに見せてくれ!」
「残念、父さんには買ってません。俺へのおみやげは買ったけどね」
父さんがぐぬぬ、と、ハンカチを噛んだ。
「うぅ……こうやって、親不孝者が出来上がっていくんだな。わしゃ悲しいぞ、マサキぃ!」
「母さーん、今日の晩ごはんはなーにー!?」
「無視すなぁ!」
父さんを振り切り、台所で母さんを手伝う。こたつで父さんが念仏のような、呪いの言葉のような何かを延々つぶやいていたが気にしない。
「あらあら、お父さんったらそんなことを。この前メイド喫茶行ってたのにね〜」
「えっ、そうなの? 父さんメイド喫茶行ったの?」
「そうよ〜。それも普通のじゃなくて、つ……えっと、何だったかな。つ、ツンドラ……」
「ツンデレ?」
「そう、それよ! 確かそのツン……どらな感じのメイド喫茶だったそうよ」
「もー、母さんったら、そういうトコ可愛いんだからぁ」
「えへへ〜♪」
我が家のママンは天然ぎみの傾向がある。だがそれがいい。