#22
深夜アニメというのは夜中にやってるからってグロい演出ばっかり、という認識を持ってしまいがち。
なのだが、オレから言わせてもらえばそれは誤解だ。いわゆるゆるーい日常系や萌え〜なアニメも普通にやってるさ。
「か、かわええ!」
ちなみにそんなオレは、マサキの友達2号のリョウだ。1号は神戸くんな。
何を見てかわいいと発したのかって?
ようじょだよ、ようじょ。幼女いいよなー。
だが女子中学生も、女子高生のみなさんも好きだ。
マサキのヤツは失礼なことに、オレを『幼女にしか興味がない』だの『性犯罪者予備軍』だの『変態ペド野郎』だのと、こき下ろしてくるんだ。
ひどい話だよなあ…………。
ちなみにオレが夜更かしして深夜アニメを見ているときは、当然だが他の家族はおねんねしている。
エキサイトしたいが、あまり大声は出せないし騒げない。やったことある人なら分かるはず。
深夜アニメ観たいけど、バレるのが怖い!
そんな人は録画するといい。液晶テレビとかなら番組表から録画予約ができるしな。
これ、常套手段だから頭に入れておくといざというときに助かるぜ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うわーん!」
泣いて。
「あはははー、うふふふー、えへへへー」
笑って。
「いい話だなぁ〜っ……!!」
そして、感動した。
「というわけだ。君たちにこの本をオススメしよう!」
まさかラノベで泣くなんて。
このすばらしさ、みんなにも分かってもらいたいなあ。
そう思い、俺はこうやって布教をしているのだ。
「いや、それ持ってるからいらない」
「ラノベかぁ。ぼく、漫画のがいいな」
さっそくリョウとレンに布教をしてみたが……
ご覧のありさまだよ。くそっ!
やはり万人受けはしないのだな……。
「普段ラノベなんかそうそう読まない俺がこうやって布教してるっていうのに、なぜだ!?」
「コレ分厚すぎじゃねえか! 軽く凶器だぞ! 人叩いたら殺せるぞ!」
柄にもなくキレたリョウが、俺が布教したラノベの角で殴り付けてきたっ!
……えっ、ちょっとタンマ。
「や、やべぇ、オレやっちまった……」
もしかして、幽体離脱ぅ~~~~。
――したのか? なんで仰向けで頭から血ィ流して倒れてるオイラがいるの?
バカなの?死んじゃったの?
クラスのみんなは大騒ぎだ、黙祷してるやつもいればフィーバーしてるやつ、更には黒魔術で生き返らせようとしているやつもいた。
あるぇ? さっきまで学校にいたのに、街中に出てるぞ。
あっ、リョウがタイーホされてる!? レンが、やさぐれてる?!
な、何コレ? 今度は俺のお通夜か?
あーっ、エリカとエリノ先生は泣きじゃくって――
か、か、母さん泣いてる! 父さんからも涙の滝が溢れてる!
る、ルミが号泣しながら部屋閉じ籠ってるし……
「天国でも、どうか安らかに」
うげーっ!
俺が焼かれてる――や、やめて
死んじゃうよぉ
☆★☆★☆★☆★☆★
「うわああああああああああああぁぁぁぁああァ――――……ッ!?」
そこで目が覚めた。
つまり夢だったのさ。ああ、夢でよかった。
――夢だよな? ここ天国じゃないよな?
やれ神の国とか、やれ誤星界とか、その辺じゃないよな?
でも辺り一面には、青々とした草原が澄み渡った空の下に広がっていた――。
ということは――俺は。
「俺はマジで死んだのかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああうわああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ亜あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああAaaaaaaaarghhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1111」
――と、絶叫したところでお目覚めすっきり。
そう、今のは全二部構成の壮大な夢だったのだ。わけわかめだったけどね。
「ホッ。あぁ~もぉ~……、なんであんな変な夢見ちまったんだろな」
◆◆◆◆◆
ある日曜日のことだった~。
「おかあさーん」
これは、あとでママンから聞かせてもらったのだが。ルミが、
「あたしにも弟が欲しい!」
と、ママンに駄々をこねたそうだ。
すると、うちのママンは、
「あら~、それは大変。お父さんに相談しなきゃね」
こう答えたという。
――反応に困るといいたいがそうはいかない。ママンもずいぶんブラックなこと言うんだなあ!
さーて、次回の『ビビスク』は?
ルミです。
さきこです。
そしてわしが、刃野家の大黒柱にしてゴッドファーザー。
カツヒサでございます。次回は多分わしが出るから、見逃さないでくださいね。
もう、あなたったら。目立ちたがり屋さんなんだからぁ。
ホントホント。次回、『時計仕掛けのみかん』。お楽しみに!