#15
―翌々日~は、土曜日―
「おっ、今日のファルコンズは強いな。かっこいいぞ!」
「負けるな小日ぃ!」
いろいろあった俺だけど、ルミやママンと一緒に野球中継を見ていた。
今日の試合は楽珍ファルコンズvs小日ドレイクス。
俺は楽珍を応援していたのだが、なぜかママンとルミは小日を応援していた。なにゆえ――
「アッー! バッターアウトだ、楽珍が優勢だったのにぃー!」
負けちゃった、ドレイクスが。楽珍なんかに、何故だ。
「今日の小日は強かったわねぇ、あのピッチャーはカッコよかったと思うわ~」
「そ、そうだよね~。あはは……」
ママンが言うなら仕方ない。っていうか、ママンが発言するだけで場が和むんですが!
ルミはソファーの方でケータイをカチャカチャ。俺はママンとまったりお茶とおかし。
「ルミ~、ケータイばっか触ってたら目が悪くなるぞー。おやつにしようなー」
ルミは気だるそうに返事をすると、すぐテーブルにやってきた。
いっつもバカバカ言うけど、なんだかんだ言って俺の事好きなお兄ちゃんっ子なんだよな。
だが、もし……ルミが別の男に盗られたらと思うと……。
~妄想しようそうしよう~
知らない男と妹がデキていたら。パターン1。
「じゃあルミちゃんに言うぞ、あんたが妹離れできてないってこと。そして俺と何度も戦っているということを」
道端でこんなやり取りが始まったら、俺は見知らぬ男にきっとこう言うだろう。
目を見開き、鼻の穴を開いて。
「そんなこと言ってみろ……オレァクサムァヲムッコロス!!」
あ、舌がオンドゥるった。
「嫌われるよ、おしゃべりすぎるヤツは」
たとえキレても俺は笑顔を欠かさない。怒りんぼは嫌われるでの。
で、マジな顔になり。
「……誰にでも言われたくないことがある。忘れるんだな(キリッ」
そして、またにこやかな顔で妹を盗った男とさよならバイバイする。
あるいは――彼氏に盗られる前にルミをヤってしまうか。
パターン2。
「ルミ」背後からマサキがルミの肩を掴んだ。
「お前に涙は似合わない」
マサキの暗い眼差しにルミの体がピクッと震えた。
「お、お兄ちゃん」
だが、それ以上ルミはなにも言えなかった。ルミの口をマサキの唇が塞いでいた。
Tシャツの下にルミの手が入ってくる。
ブラジャーが引き裂かれ、白い乳房があらわになった。
やめて、お兄ちゃん!
ルミのジーパンが一気に膝の下まで下ろされる。
ルミは激しく抵抗した。マサキの顔に爪を立て、胸を叩いた
――いかん。これでは近親相姦じゃないか。これって冷静に考えたら犯罪じゃないか。
ダメじゃん俺、何やってんだ! っていうかルミが俺のことをお兄ちゃんって呼んでる!
気を取り直し、パターン3。ライダーバトルといこう。
たたかいをやめさせようと、れんもやってきた。
れん「みんな、ライダーどうしで たたかうのは やめようって!」
かれし「じゃあ、まず おまえから しんでもらうか」
こういうゴチャゴチャした戦いは嫌いだ。なので俺は巨大な牛のロボみたいなモンスターと契約して、マグナバイザー持ってルミの彼氏をムッコロす。
おれ「みんなよけろ。ルミのかれしだけはゆるさない。」
おれは ルミのかれしに ファイナルベントを
あびせる つもりだぞ。
かれし「へん、ばかめが。やれる ものなら やって みろ!」
そして、発射!発射!発射ぁぁぁ!!
かれし「おまえが くらえーっ!」
ひろゆき「なに?ぎゃーっ!」
ひろゆきは ルミのかれしに たてがわりに されて しんだ。
ルミのかれしは ひろゆきの モンスターを てにいれた。
なにを たくらんでいるんだ?
りょう「なんてやつだ!」
かれし「へへへっ、ゆかいだぜ」
アレ、ヒロユキがガードベントされて死んじゃったぞ、まあいっか、ヒロユキだし。
「兄貴!」
~妄想終わり~
「な、なんだいルミ……」
妄想から目を覚ますと目の前にはルミが。その傍らでママンが優雅に微笑んでいた。
何があったんだ?
ふと、ぼやけていた目を凝らすと。
――ポッキー? 何をしようというんだ。まさか……。
「兄貴~、ポッキーゲームやろ」
「え」
ポッキーゲーム……とは、ポッキーなどのスティック状のスナック菓子を用いたパーティゲームのひとつ。
2人がポッキーの両端をくわえて同時に食べ進むゲームであり、合コンや酒宴で行われることが多い。
明確なルールは存在しないが、一般に遊ばれている場合はいくつかルールがある。めんどいから割愛するけどね。
「わたしも参加するわよぉ♪」
なんと、ママンも一緒。
――至福だ。実に至福。萌え殺されても文句は言えぬ、余は満足じゃ。
原文はマサキがヒロユキに対する尋問でやらかしてしまった為、彼の家まで謝りに行く…という出だしでしたが、ちょっと重い展開なのでカット。
その代わりルミとさきこママンとの交流、マサキの妄想を入れました。
ちなみに妄想の元ネタは、上から順に
・仮面ライダー剣6話の、ムッコロさんがキレるシーン
・仮面ライダー555のノベライズ版のとあるシーン
・たのしい幼稚園版仮面ライダー龍騎の、王蛇様専用ガードベントのシーン
です。