#14
「ついでだし、マサキくんも診てあげましょうか〜」
「いえ、俺の病気は、……恋の病です!」
俺の告白アタック! ――しかし効果はないようだ。
エリノ先生は俺をウザいと思ってはぐらかしたのではない。
彼女は天然さんで、恋に鈍感。素でこういう反応をしたのだ。
「うは、告白失敗してやんの」
こいつめ……よほどあとでよしもとのハリセンを食らいたいらしい。
「うーん、そういうの、わたしにはよく分からないなぁ。専門家の人の方が詳しいと思うよ〜」
「ははっ、そうでしたね。すみません……」
―保健室前 廊下―
「失礼しましたー……さて、と」
俺はヒロユキの耳たぶを掴み、体育館の裏へと連行した。
「お、おい、何しやがる! イジメか!?」
「そんなんじゃないよ! とにかくついて来い……」
体育館裏。
口笛を吹くと同時に、リョウとレンが推参!
「完璧イジメじゃねーか?!」
「ちゃうちゃう、ちゃうー。イジメなんかとちゃうー、個別指導やぁ」
「こ、公開処刑かなんかと間違えちゃいねぇか?」
お前の言い訳なぞ聞くものか――
「さぁ答えろ。なぜ今日の体育の時、お前はわざと足をすりむいたんだ?」
リョウが気迫のこもった尋問をはじめた。
レンと俺は後ろで待機。
「え、エリノ先生に会いたいから……」
「……そっか、お前もエリノ先生のこと好きみたいだもんな」
首をへし折ってやろうと思った。そのくらい俺は目の前の不真面目なやつに対してイライラしていた。
でも許そう。エリノ先生を愛するもの同士だからね。
「よし、いいだろう。さっきはすまなかった。お詫びとして寺辺、君を山科姉妹ファンクラブの会員第一号として迎え入れようじゃないか」
「そんなのあったっけ?」
レンもリョウも、そして寺辺が驚くのも仕方ない。たった今作ったからだ。
「なんだよ、辛気臭いなァ。よし! そろそろ教室戻るぞ!」
そして――授業へ戻る。
さっきイライラした反動かすげえ眠い。先生のティーチングをシカトして居眠りしたい気分だ。こういうときに限ってお日様も気持ちよく、ついつい眠気が……
「3かける2のにじょーとか、わけわかんねえっしょ……ぐごぉー」
あ、寝ちゃった。ヤバイ、先生きっと怒るぞ。
「あーあ、俺もうしらね」
この時、リョウは汚物でも見るような視線で俺を見て呆れていたらしい。酷い話だよな――。
最初はキレたマサキが本当にヒロユキの首をゴキッとやってしまうシーンを入れる予定だったのですが、
それだとこの小説の雰囲気に相応しくない陰鬱な展開になってしまうのでやめておきました。
っていうか、書き出す寸前で仲直りする展開にしてよかった(^^;