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新刊は順番に確認します

 大神様と話して、数時間後。大量の本たちが風に乗って届けられた。

 さすが、大神様。仕事が早い。

 私は、本たちをカウンターにひとつずつ並べた。百冊は超えそうな本たちは、表紙をうずうずとさせている。


「行っておいで」


 そうささやくと、本は一斉に飛び立つ。ぱたぱたと飛んで、自分の世界の本が置かれている棚へと向かっていった。自分の居場所を見つけてすっぽりと棚に収まると、本たちは表紙を小さく瞬かせる。いつ見ても、この光景は綺麗だ。


「どんな本なのかな」


 今の時間は図書館を利用している神様はいない。なら、大好きな本を存分に楽しもう。私は、うきうきと足取り軽く本棚の合間を縫って歩いていく。


「これだ」


 新たに棚へ収まった本を、一冊だけすっと抜き取る。箔押しの表紙に、その世界と人生の名前がそれぞれ書かれていた。私が手に取ったのは『静森界』の『ローラン』という住民の本。生まれから始まり、その一生の終わりまでが本の中に記されていた。


「大神様も、良いことするね」


 世界の住民がどんなことを思い、どんなことを考えて一生を閉じていったのか。それらがすべて書かれた本は、なんだか価値のあるようなものに見えてくる。

 ふと、一際輝く本を見つけた。その本の隣には、背表紙に『人間界』と書かれている本がある。あ、これってレンの創った世界だ。管轄地域ごとに分かれているから、自然と本の冊数が多くなるんだよね。

その中で、煌めきが一番強い本を手に取る。紫色の表紙で、タイトルは金文字で彫られていた。そこには。


『ユイ』


「え、私の名前……?」


 書かれていた表紙のタイトルは、私の名前だった。見間違えだろうと思って、もう一度タイトルを見る。すると、それはどんどんと消えていった。


「え?」


 代わりに現われたのは、アルファベット文字。ふわふわと動き、やがてとある文字の羅列を浮かび上がらせた。


── Sumire


「すみれ?」


 スミレは、紫色の花だ。ならば、スミレの花についてのことを書いているのだろうか。それとも、この本は『人間界』のものであるから、「すみれ」さんという人の人生なのだろうか。どちらか分からないまま、私はその本を開いた。




『この世界は、残酷だ』


 誰かが言った。暗い声で、なんの覇気もなく。

 辺りが白い闇に包まれ、その声はくぐもって聞こえにくい。


『神様。もしいるなら、この子をお助けください』

『この子を助けてくださるのなら、私の命を捧げます』

『お願いです、神様』


 世界の住人は、神様を目にすることはできない。でも、その声たちは見えない神様に縋って懇願していた。

 まるで、『神様』が見えているかのように──。


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