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本日も神界は平常運転です

 神様は、自由気ままだ。自分の気の向くままに過ごし、のんびりと時間を過ごす。

 ぼーっとしている神様、ずっとお酒を飲んでいる神様、他の神様とおしゃべりが止まらない神様。

 そして。


「仕事、行きたくない!」

「行きなさい」

「……あたた、なんか急に腹痛が」

「学生の仮病なんて使わないの。ほら、がんばって行ってらっしゃい!」


 仕事に行きたくない神様もいる。

 レンを仕事に送り出すのは、重労働だった。

 強引に叩き起こし、服を着替えさせて、「行きたくない」と意地を張るその背を押す。こんなにも仕事を拒む神様は、レンくらいだ。正直言うと、かなり面倒くさい。


「はぁ」


 レンを送ると、うーんと伸びをする。図書館の隣には、神様たちの神殿がある。そこの庭は広大で、神様たちがよく芝生の上に転がっている。見れば、今日も数人の神様が落ちていた。お気楽なものである。


「のんびりなところだなぁ」


 神界は、夜を迎えていた。青い月が頭上で煌めき、色とりどりの星たちが楽しそうに瞬く。空気はきりりと冷たくて、胸いっぱいに吸い込むと体が浄化されるように清らかになる。こんな空気が、本当に大好きだ。

 ふと、青い月が強く輝いた。丸い輪郭が黄金に瞬き、明るい光をちらつかせる。あっと思ったときには、目の前でポンッという軽い音が響いた。


「ほっほっほ。元気かね、ユイ」

「おかげさまで」


 目の前に突然現れたのは、白いヒゲがもじゃもじゃと生えたおじいさん。白い衣に身を包み、白髪を風になびかせている。瞳は、吸い込まれそうな綺麗な青色。赤い服を着たら、冬にプレゼントを持ってくるあのおじいさんにそっくりだ。


「プレゼントください、大神様」

「わしにそんなことを言うのは、君とレンだけじゃよ」


 おじいさん──大神様は、これまた楽しそうに「ほっほ!」と笑った。

 大神様は、神様たちの上に立つ存在。いわば、神様たちの上司である。もっとも、怖い上司ではなくて優しい上司だ。前世でも、こんな良い上司に巡り合っていたかったと切実に思う。


「で、今日はどうしたんですか?」

「ユイにお願いがあってのう。また蔵書を増やして欲しいのじゃ」

「別に良いですけど……。また空から本を降らせないでくださいね?」

「それは、悪かったと思っておる」


 あの日、本を降らせたのは大神様だ。図書館に本をしまうのが面倒になったらしく、とりあえずドサドサと落としたらしい。良い上司ではあるけれど、こういうところはガサツでだらしない神様だ。


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