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17/20

酒宴に関することは、司書の仕事に含みません

「おーい、ユイちゃん!」


 レンと話すべきだ、と決意した次の日。

 いつものように図書館で本を整理していると、外から大きな声がした。図書館では大声を出したくはないが、気まぐれな神様に抗議してものらりくらりと躱されるだけだ。諦めた私は、大声でその声に応える。


「何ですかー?」

「ちょっと来ておくれ!」


 このしゃがれた声からして、きっとガルムだ。また、図書館の前で酒宴を催しているのだろう。やめてって言っているのに、まったくやめる気配がない。今日こそ、一喝してあげよう。

 図書館の扉をバンッと開けて、外に出る。美しい星空が広がる上の崖で、神様たちがわらわらと集まって座っていた。近づくけば、風に乗ってお酒の匂いが鼻を掠めてくる。そのお酒臭さに思わず鼻をつまむと、私に気付いた神様たちが騒ぎ始めた。


「よう、ユイちゃん。どうだ、一杯」

「ソーヤさん、だめだよ。ユイちゃんは飲めないんだから」

「なんだぁ、ユイちゃん。俺の酒が飲めないってかぁ?」

「おじさん方。可愛いお嬢さんを困らしてはだめですよ」


 今日も今日とて、図書館の前で酒宴を繰り広げている神様たち。酔っぱらって絡んでくる神様に、赤い顔をしながらも正論を言う神様。ただの酔っ払い神様たちが、そこで暴れまわっていた。


「まったく。神様もお酒が入るとだめになるんですね」

「わしはまったく酔わないがな」


 私を呼んだガルムは、酒瓶を片手にガハハと笑った。ガルムは神様の中で一番の酒飲みだ。彼のせいで、


「で、何の用ですか? お酒の追加は、図書館の仕事じゃないですよ?」

「違うって。ほれ、あれを何とかしてくれ」


 そう言って、ガルムさんはすっと指差した。その指の先には、酒瓶を抱きしめて寝ている神様の姿。淡い水色の衣に、黒い髪。まさか。


「レン?」

「酔っぱらって寝ちまってなぁ。悪いが、連れ帰ってくれんか」

「……私が?」

「おう。頼んだぞ」


 ガルムはパチンと下手なウィンクをすると、再び酒宴の輪の中へと戻っていった。残されたのは、私と酔っぱらいなレンだけ。

 仕方ない。私はため息を吐くと、レンの腕を引っ張った。


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