転生者に関する報告を受けています
「転生者って、あの転生者ですか?」
「どれもこれもないだろう。転生者は転生者だよ」
そう言ってノクティアは笑う。片手を上げてウェイトレスを呼び、ソラさんのための飲み物を注文する。彼女が去っていくと、ソラさんはノクティアを見た。
「ノークさん。この方が、新しい助手ですか?」
「うん。僕の『転生者研究』の新たな研究対象でもあるよ」
ど、どういうこと!?
ノクティアを見れば、ぺろりと舌を小さく出してきた。おそらく、『説明し忘れたね』とでも言いたいのだろう。なんて身勝手な。人に説明もしないで、ここに連れてきたのか。やっぱり、神様は自分本位だ。
つまり、ノクティアはこの星夜界では『転生者研究のノーク』として存在しているのだ。だから、ソラさんもまた研究対象なんだと思う。
「ユイはね、転生した理由が分からないんだ」
「……そんなこともあるんですね」
ソラさんが私のことをまじまじと眺めてくる。やめて、あまり見ないで。
恥ずかしくなって目を逸らすと、ノクティアがふふっと笑った。ちょっと、あんたのせいだからね。
「それで、私が呼ばれた理由は?」
「ユイに色々教えてあげて欲しい。悩みすぎて、頭から煙を出しているんだ」
け、煙? そんなの出した覚えないよ!
自由気ままなノクティアに呆れる。ソラさんはそんなノクティアに慣れているのか、「なんでもご質問どうぞ」と小さく微笑んだ。
そこへ、ソラさんの紅茶が到着した。ソラさんは、角砂糖をぽとぽとと五個くらい入れている。けっこう甘党なんだ。
「えっと、ソラさんはどこの世界から星夜界へ転生したんですか?」
「私は人間界です」
ドクン。
胸が強く鳴った。
人間界。つまり、私と同じところだ。じゃあ、神様はレンなのだろうか。
ちらり、とノクティアを見る。私の視線を感じ取ったのか、ノクティアはふるふると首を振った。どうやら、レンの管轄ではないらしい。
「わ、私も人間界なんです」
「奇遇ですね。私は、人間界で交通事故に巻き込まれました」
「交通事故?」
聞き覚えがあるような、ないような、不思議な言葉だった。きっと、この世界にはない言葉なんだろう。
紅茶に口を付けたソラさんは、ほぅと息を吐いた。
「横断歩道を渡っていた私を、居眠り運転をしていた車が突っ込んできたんです。即死だったようですよ」
「……そうですか」
──即死。
その言葉だけ分かった。他の『横断歩道』や『居眠り運転』は、よく分からない。だから、少し暗い気持ちで相槌をついた。
しかし。
「横断歩道……信号──?」
なぜか、その二つの言葉が結びついた。




