第九話 ドッペルゲンガー
ーーおはようございます。本日の天気予報をお伝えします。
今日は一部地域でドッペルゲンガー注意報が発令されております。
お気をつけください。
憂ヰ「は…!」
憂ヰは寝てしまっていて、夢を見ていたようだ。
憂ヰ「ゆ、夢か。」
ルネ「どうしたの?」
憂ヰ「いや、テレビが急に点いてて…。ドッペルゲンガー注意報とか言われてさ、ちょっと混乱して起きてみた。」
ルネ「ドッペルゲンガー注意報?」
憂ヰ「よくわからないね。ドッペルゲンガーか…」
ルネ「ん~似てる都市伝説なかったかなぁ~」
ルネはいつもなにかあると都市伝説をネタとして持ってくる。
憂ヰはそれに付き合っているからか、自分自身も都市伝説に詳しくなっていっていたこともあり、近しい夢を見たのかもしれない。
他にも様々な都市伝説を聞いたことだろう。
その中で印象に残っていたのがドッペルゲンガーだったのかもしれない。
憂ヰ「ドッペルゲンガーね...」
憂ヰが独り言を呟く。
ルネ「なになに?どうしたの?」
憂ヰ「なんでもないよ。」
ルネ「なんかありそうな顔〜。」
憂ヰ「なにもないから!」
ルネ「はーい、深くは詮索しませんよー。」
憂ヰにとってドッペルゲンガーは恐怖でもあった。
自分と全く同じ人間が仮にこの世界にできたとしたら、世界が崩れてしまうかもしれないからだ。
憂ヰにとっての生きがいの世界。
誰かに奪われてしまったら、憂ヰ自身生きる気力をなくすことが目に見えていた。
だから怖かった。
憂ヰ「私が創造した世界は私が守り抜く。」
そう覚悟を決めたのであった。
参考文献「終焉ノ栞/スズム(敬称略)」




