第七話 現世からの逃避行
ルネが生きていた時ーーーーーーー
普通の一般家庭。
父親も母親もいる。
何不自由ない家庭。
のように見えているだけで現実は悲惨。
母親は毎晩ヒステリックを起こし、父親は仕事ばかりで無関心。
亭主関白な側面もあった。
とにかく、昨今話題の「さす九」に近かっただろう。
一方学校はというと、親友と呼べる人もいない。
友達という友達、というよりもうわべだけなんとか仲良くしている。
そういったところだろうか。
いじめられることもあった。
本人はそんな気はないのに、相手はものすごくオーバーに捉えてしまっていたらしく、普通に過ごしたいだけなのに、仲間はずれにされたり、自分だけ鬼ごっこに入ろうとすると、無理難題を押し付けられたり。
ルネはどうやら精神年齢が高かったのか、同学年より五歳上なのか、はたまた同学年の人間が五歳下なのか。
とにかく、本当に生まれ育つ地域によって合う合わないがあるとはこのことかとわかるくらい劣悪だった。
受験の話になれば、親の期待というよりも親の行けなかった学校を押し付けられるなど
とにかく、普通に愛されて生きてきた人たちを見れば惨めになる環境だった。
とても生々しい話だが、今のZ世代と言われる子たちはこのような環境で、時には周りを妬み、時には楽しんだり。
むしろ、今の社会人の方々よりも荒波に揉まれている一面もあるのだろう。
ルネにとっては耐え難い環境だったことに違いない。
そんな中、耐え難い苦痛から離れるためにあてのない死への片道切符を持って、旅行をしたのだったーーーーー




