第六話 時空旅行
ルネはさり気なく憂ヰに聞いた。
ルネ「トンネルを進んでたとこまでしか覚えてないんだけど?」
憂ヰ「都合が悪かったから時戻しといたよ」
ルネ「え?」
ルネは困惑した。
ルネ「時を戻す...?」
憂ヰ「最初に言ったじゃない。『すべてが思い通りになる』って。」
ルネ「そんなことできるの?!」
憂ヰ「いや、そりゃあそうでしょ。」
ルネ「そっか...」
ルネは困惑したが受け入れようとした。
ルネ「次はどこに行くの?」
憂ヰ「そうだね」
ルネ「あ!あそこになにか民家があるよ?」
憂ヰ「ホントだね」
ルネは眼下に広がる景色の中に集落を見つけた。
ルネ「行ってみたいなぁ」
憂ヰ「行く?」
ルネ「行こー!」
その時、瞬間移動したかのように気がつけば目の前に集落があった。
ルネ「ここの家行く~~!」
憂ヰ「はいはい。」
ルネは元気いっぱいに走って家に向かっていった。
近くには廃墟になったホテルや、旅館もあった。
どうやらここは過去に発展していた温泉街のようだ。
憂ヰ「ここ、温泉あるのかな。」
ふと憂ヰは気になった。
すると、目の前に日帰り入浴ができる貸切温泉を備えた旅館が目に入った。
憂ヰ「せっかくだし…」
憂ヰはちゃっかりものでもあった。
ルネが家に夢中になってる間にちゃっかり自分のやりたいことをこなす器用な女の子でもあったからだ。
一方その頃。
ルネ「ここすご〜い!!!!」
まだ、人がいなくなってから間もない潰れたショッピングセンターを見つけ中に入り、従業員の通るような通路を見て楽しんでいた。
ルネは昔から、人がかつていたけど今はいない場所や、夢で見たような世界に似ている場所に行ってみたいと思っていた。
それが、現世からいなくなった今、行くことができてとても嬉しくなっていた。
ルネ「次はここ行こーっと」
ルネは次から次へと行きたい場所を回った。
温泉でのんびりしている憂ヰはルネのことを考えていた。
憂ヰ「あの子、現世にいたときは可哀想だったな。」
憂ヰは現世から憂ヰのもとに来た人の過去や、どういった経緯で現世を去ることになったかを見ることができた。
憂ヰの目的は現世で不憫で理不尽に揉まれて生きていたけれども生きる理由を失った人たちのための最後の楽園を作ることだ。
特に、ルネのために。




