表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憂戚逃避行 ~憂鬱な世界を旅する少女たち~  作者: 纐纈翠姫(あやめみずき)
第一章 すべての始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

第二話 確信


20XX年11月

あれは昼下がりのことだった。


ルネは現実で生きることが限界になった。

生きていても、お金がかかる。

したいことをしようとしてもお金がかかる。

何をするにもお金がかかる。

ルネは高校生で、多少のバイトはしていたものの、人間関係が劣悪。

親も、あまり当てにならないほど悲惨だった。

ルネ「もう…生きてるのうんざりだな。」

「だって、生きていても親に認められない。」

「眼の前が霞んじゃうくらい何も見えない。」

「いっそ死んだって誰も気づかないよね。」

「そうだ!遠くにいこう。」

「誰にも見つからない、誰も行くことのないあの場所へ」


そうしてルネは、旅に出た。

とある片道切符を持って。


ルネ「海、きれいだなー。」

近くの朱雀駅から汽車に乗って、5分も経たないうちに地平線の眺められる海しか見えない景色が広がった。

ルネ「海に散骨される人もいるんだっけ」

ルネは死のことに関してはとても知識があり、埋葬方法をたくさん知っていた。

ルネ「最後くらい、認められて盛大に埋葬してほしかったなー」

30分して、とある駅で汽車から、SLに乗り換えた。

初めてのSL。どこか、それが心地よかった。

ルネは旅行をできるような家庭ではなかった。

環境も良くなく、団欒という単語がほぼ皆無に等しいくらいに。

だからか、列車に乗ること自体が初めてだった。

ルネ「昔の人はこんな感じで旅してたんだ。」

「なんとなく楽しいな。」

そんな独り言を誰も乗っていない客車の中でポツリ呟いた。


SLはどんどん山の中へ、森の中へ。


どれほどの時間乗っていたのだろうか。

ルネは気がついたら、列車が動かなくなっていることに気がついた。

どうやらSLが心地よくいつの間にか寝てしまっていたらしい。

ルネ「ここは?」

駅の中の看板を探し確認してみる。


    【きさらぎ】

←やみ      かたす→


看板にはそう書いてあった。


ルネ「ここが、あのきさらぎ駅か」

ルネは知っていた。

都市伝説で、きさらぎ駅という寂れた駅があると。

確かに駅を見渡してみると、ところどころ錆びていたり、手入れがされておらず、とても不気味な雰囲気が漂っていた。

ルネ「ここ、心地良い。」

ルネはどこか懐かしさを感じたのか、その雰囲気が心地よかった。


ルネ「散策してみよう」

そうして、朱雀駅で買ったきっぷを駅に設置されていた運賃箱にそっと入れた。

そして誰もいない改札を抜けた。

どうやら無人駅らしい。


出た時間が昼下がりだったのもあってか、すでに日が暮れて外は何も見えないくらい暗かった。

夜の知らない土地。

だが、ルネは夜の街がとても安心した。

ルネ「ここだと誰にも邪魔されない。安心する。」

ルネは人のことは無関心だったが、自分の世界や、自分に危害を加えられることがとても嫌いだった。

夜は出歩いてる人が少ないからこそ、一人でいる感覚が心地よかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ