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憂戚逃避行 ~憂鬱な世界を旅する少女たち~  作者: 纐纈翠姫(あやめみずき)
第二章 誰もいなかった場所

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第十八話 過去

ーーールネは生前、アイスクリームを売っている「ハッピージェラート」という大型商業施設のフードコートにあるお店で働いていた。

そこのお店は人手が足らず、ルネはいつもシフトが6-8時間を毎週末に入り、平日は学校が終わった後も必ず4時間は入らないと回らないお店だった。

ルネはある意味で仕事は楽しかったところもあったが、人間関係がいい時と悪い時もあり、なかなかに苦しい毎日を過ごしていた。

だが、そこまでして稼がないと、自分の趣味だけでなく生活も回らなかった。

かといって、高校生なのもあり、コンカフェや、そういったバイトには就職することができなかったこともあり、仕方なくそこで、バイト漬けになっていた。ーーー



気がついたら、ルネはいつもの大型商業施設の更衣室にいた。


ルネ「あれ?ここ、バ先の更衣室...?」


そう独り言を呟いた。


ルネ「憂ヰがいない...」


ルネは隣にいつもいる憂ヰがいないことにも気がついた。


同時に憂ヰは大型商業施設の中の従業員が通る廊下とエレベータの近くにいた。


憂ヰ「あれ?ルネ?ここはどこ?」


憂ヰとルネはどうやらバラバラにこの世界に来てしまったらしい。

ルネは更衣室で心細かったこともあり、憂ヰを探しに更衣室を出た。

憂ヰも同じ時、ルネを探すためエレベーターに乗り、一番上の階から捜索することにした。


ルネ「憂ヰ~~~!憂ヰ~~!」


ひたすらに憂ヰの名前を呼びながら探し回った。

同じ頃、憂ヰは3階から探し始めた。


憂ヰ「ルネ~!どこにいるの~?ルネ~!」


ルネは憂ヰがどこにいるのか見当もつかなかったので、とりあえず叫びながら同じフロアをぐるぐるしていた。


憂ヰはルネを捜索してる途中、突然ルネのバイト先での接客の光景が目の前に過ぎった。

ルネ「こちら、シングルのオーガストメロンでお間違えなかったでしょうか?」

客「はい!」

ルネ「それでは、お会計のほうが、410円になります!」

客「カードで!」

ルネ「クレジットですね!かしこまりました!こちら画面が光りましたらタッチか差し込みをお願いいたします!」

(ピーッ

ルネ「ありがとうございます!それではこちら商品になります!ありがとうございました!」


憂ヰ「こんなに笑顔で元気だったのね...」

憂ヰはルネの本当の笑顔を普段見なかったことのほうが多く、あまりに新鮮だった。


一方のルネは。

ルネ「ねぇ~憂ヰ~~~~!」

必死に叫んで憂ヰを探していた。

ルネ「ねぇ、憂ヰ...」


ルネはドンドン気力がなくなっていっていた。

気がつけば、その場に座り込んでしまった。


ルネ「嫌だよ...このまま憂ヰと離れ離れは...しかもここいい思い出ないのに...」


ルネはバックルームではいい思い出がなかった。

帰り際にLANE(コミュニケーションアプリの名称)で、母親からの大量の鬼電と、チャットで「どこほっつき歩いてんの?早く帰って来なさい!」など、ルネにとって苦しくなるような内容ばかりを送ってきていた。ルネはとてもしんどかった。ここまで監視されなければならないのかと考えれば考えるほど、もうどこにも居たくないそう思うほど追い詰められていた。


ルネ「憂ヰ....」

次第に叫ぶこともできなくなっていた。


一方、憂ヰの方は。

憂ヰ「ルネ~」

声を掛けつつ、3階を回って、くまなく探した。

いなさそうなこともあり、2階に移動した。

そこでもまた、ルネのバイト先での出来事が過ぎった。


バイトA「████さん(ルネの上の名前)ってほんと仕事できないよね」

バイトB「ね~ほんとなんで████さんがいるとアイスがよく売れるのかもわかんないんだけど」

そんな話が、ちらりと店舗の裏で話されているのをルネは聞いてしまった。

ルネ「そ、そんな、私のこと名指ししなくても...」

それによって、その店の従業員から悪く思われていることに気がついてしまい、悲しくなっていた。

ルネ「まぁ仕方ないか。仕事あんまりできないし、いいとこないもんね。」

と、無理して自分で割り切りを付けていた。


憂ヰ「...」

そのエピソードを見て、憂ヰはとても悲しくなってしまっていた。


憂ヰ「これだけじゃないにしても…。他の場所も見てみよう…。」


再び捜索を始めた。


しばらく探索しているとまたとあるエピソードが過ぎった。


母「何時までバイトしてるのよ!!家のことほったらかして、好き勝手やって、ほんとあんたはお父さんに似てだめな子ね!そんなんだからあんたは!」

父「ルネ、本当にこのままで社会でやっていけると思ってるのか?お前本当に社会で困るぞ?」

ルネ「は、はいママパパ...」

母「で?なんでごめんなさいの1つも言えないの?反省してないのね!」

ルネ「ごめんなさい...」

母「促されてから言うなんて。まぁ、あんたどうせ帰ってこないと思ってたし、今日のご飯はないから。」

ルネ「えっ」

母「当たり前でしょ?そんな子にご飯なんて作ってあげれないわよ。本当にだめな子なんだから。まあどうせ反省なんてしてないでしょうけど。」

ルネ「...」

母「お父さん後でルネについて話しましょ。はあ、出来損ないの子供を持つと大変だわ。」

父「あぁ、親戚の子はあの大学に行ったというのにこの子は行けそうにないしな…」

そう言って父と母は二人だけの部屋に行った。

ルネ「いつもこうなって、私が生きてるのバカみたい。」

むしゃくしゃしたルネはぬいぐるみを壁に投げた。

ルネ「幸せって来ないんだろうな。」

そう一人で呟いていた。


憂ヰ「...」

憂ヰはショックどころか、悲惨な状況過ぎて言葉も出なかった。

憂ヰ「こんなのひどすぎる。」

そうポツリと呟いた。


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