第十七話 龍の温泉
いつのころであったろうか――とにかく大昔のこと、山口県下関市川棚温泉の近くには大き な沼があり、そこには青龍が主となって棲んでいたが、その霊威によってか、ここだけには春夏秋冬を通じて水の過不足の心配がなく、里人は平和な生活をいとなんでいた。
ところが、あるとき、地震が起こり、沼からは突然に熱湯がふき出したので、 青龍は七転八倒――ついには死んでしまったのである。そして、それからは不穏の出来ごとがたびたび続くようになっ たという。
これを青龍の死霊の祟りというふうに考えた里人たちは、その障りをさけるために、青龍の霊を供養し、青龍大権現 として祀りあがめ、以来一万年は如何ようなことがあろうとも祭りを絶やさぬよう起請したので、里は再び平穏に帰り、 湯はまた薬効あらたかな霊泉として評判は世に広まったとのことである。
ルネ「温泉に入りたい!!」
憂ヰ「今日は温泉ね、たまにはいいんじゃない?」
ルネ「なんと!伝説の温泉があるって聞いたの!」
憂ヰ「伝説の…ねえ。」
ルネ「龍にまつわる逸話があるって!…それでね?その龍っていうのがね青かったんだって!」
憂ヰ「青い龍がいるのね」
ルネ「そう!」
憂ヰ「ルネは見に行きたいの?」
ルネ「うん!だって、龍なんてそうそう見られないよ!温泉にも入れて龍にも会えるなんて、最高じゃない?」
憂ヰ「そういう事なら、見に行こうか。」
ルネ「やったー!」
ーーー少ししてーーー
青龍「やぁ。」
憂ヰ「あら…青い龍さんって、この方?」
青龍「そうだ。」
ルネ「すごーい!!」
青龍「何を驚いている?」
ルネ「すぐに会えるなんて思ってなかった!」
青龍「いや、普通にいるがな」
ルネ「青龍って関西人だったの?」
青龍「みなまで聞くな」
憂ヰ「ええと…青龍さんはなぜここに?普段はこんな場所に居ないでしょう?」
青龍「いや、まぁ成り行きだな」
ルネ「青龍さんって成り行きでここにいることもあるんだね〜!結構自由なの?」
青龍「まぁ、そうだよ」
憂ヰ「ちなみに青龍さんって、ここの地主さんなのよね?」
青龍「まぁそんなとこだな」
憂ヰ「ありがとう、なるほどね。」
青龍「んで、君たちはなんでここにきたんだい?」
ルネ「歴史!歴史が知りたくて来たんだ!青龍さんなら歴史に詳しいでしょ?」
青龍「なるほどな」
憂ヰ「ちなみに聞くけれど、青龍さんって、この場所に何年住んでるの?」
青龍「そうだなぁ、100年は住んでるんじゃないかな」
憂ヰ「え、青龍さん自分でもわからないの?」
青龍「あぁ、気がついたらここにいたからな」
憂ヰ「私と似てるわね」
ルネ「やっぱり青龍さんって長生きなんだ〜!すごいね〜!」
青龍「そうだな」
その時、突然地震が起きた。
3人「うわぁぁ」
ルネ「な、なに?!」
憂ヰ「地震...?」
その瞬間、地面から熱湯が吹き上がった。
青龍「うわぁぁ~」
声の方を見ると、その吹き上がる熱湯を直接受けている青龍が見えた。
しばらく転び続けたが、しまいには動かなくなってしまった。
憂ヰ「青龍さん…」
ルネ「青龍さーーーん!!!!起きてー!!!なんで…返事をしないの…?」
憂ヰとルネは声を掛けてどうにか生きていないか確認をしたが、息絶えていた。
憂ヰとルネはしばらくその土地にとどまって、悪いことが起きないかなど、様子を見ていると、どうやら各地で不穏な出来事ばかりが起こっていた。
気がつけば、住人たちが「青龍の祟りだ!!」と決め、青龍大権現として崇め奉ると、街には再び平穏が戻った。
憂ヰ「とりあえずなんとかなったようね。」
ルネ「よ、良かった...安心した...」
ルネ「100年以上生きた青龍が民に忘れられないか心配だったけど、あの様子だと大丈夫そうだね。」
憂ヰ「…帰ろっか」
ルネ「そうだね!」
そうして憂ヰとルネは元いた世界に帰っていった。




