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憂戚逃避行 ~憂鬱な世界を旅する少女たち~  作者: 纐纈翠姫(あやめみずき)
第二章 誰もいなかった場所

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第十三話 こっくりさん

ーーー知っている人は知っているこっくりさんのお話。一度は誰しも耳にしたことがあるだろう。

聞きたいことに何でも答えてくれる、神様のような存在。

最後に、「こっくりさん、ありがとうございました。お離れください。」を言うのを忘れない。

言い忘れると帰ってくれず、取り憑かれてしまう。また、手を離したり怒らせてしまった場合も同様に取り憑かれてしまう。

なお、見た目は狐が多いとか。ーーー


憂ヰはなんの気なしに憂ヰの創造した世界で過ごしていた。

何事もなかったかのように、ルネもいた。

ルネ「ねー憂ヰ!こっくりさんしよ~!!」

憂ヰ「どうしたの?今度は」

ルネ「聞きたいことができたの!」

憂ヰ「何が聞きたいの?私がいるのに…」

ルネ「好きな人がこの先できるのかなあって思って」

憂ヰ「ルネに好きな人…?」

ルネ「恋バナってやつをしてみたいお年頃なの!」

憂ヰ「ああそういうこと。わかったよ、やろうか。」


机、椅子、10円玉、紙とペンを用意した。


紙とペンで50音表と鳥居、最後に「はい」「いいえ」のこっくりさん定番のシートを作った。

ルネ「わくわくする~~~!」

憂ヰ「浮かれすぎて儀式間違えないでね。大変なことになるんだから。」

ルネ「私が間違えるわけないじゃ~ん!仮にでもオカルト研究会の部長だよ!」

憂ヰ「油断していると足元掬われるよ?」

ルネ「大丈夫、大丈夫~!さっ、始めよ~」

憂ヰ「はいはい。」


ルネ「こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら『はい』へお進みください。」

ルネがそう言うと、10円玉が「はい」の位置まで動いた。

ルネ「きたきたきたきた…!!」

ルネは嬉しそうだった。

ルネ「こっくりさん、こっくりさん、私、ルネが将来好きな人ができるか教えて下さい。」

こっくりさんは鳥居から、「はい」の位置に動いた。

ルネ「やったあ!!!」

そうしてルネは嬉しがった

ルネ「つーぎーはー…こほん(咳払い)。こっくりさん、こっくりさん、私、ルネがその人と結婚できるか教えて下さい。」

そう聞いたこっくりさんは、「いいえ」に進んだ。

ルネ「えーーどうしてーーー??」

ルネは残念がった。

憂ヰは悟っていた。ルネは現世にはもういないのだから。と。

しかし、そのようなこともつゆ知らず、ルネはこっくりさんを続けた。


一通り聞きたいことが聞けたらしく終わることにした。

しかし、悲劇はここからだった。


ルネ「飽きた~おわろっか」

ルネはそう言うと、終わりの儀式をすることなく指を10円玉から離してその場を離れてしまった。

憂ヰ「あっ!!…あー、これはやばいかも...」

そう、憂ヰは独り言を呟いた。

憂ヰは、とりあえず、終わりの儀式をして、片付けた。その時にはルネは近くにいなかった。

少しして、ルネが帰ってきた。

ルネ「ただいま~」

憂ヰ「おかえ...り?!」

憂ヰは驚いて開いた口が塞がらなかった。

ルネ「どうしたの?」

ルネはあっけらかんとしている。

憂ヰ「と、となり....」

ルネ「となり?」

憂ヰ「あっ、後ろに行った」

ルネ「後ろ??」

憂ヰにははっきり見えていた。

ルネの周りを狐がすばしっこく逃げ回っていた。

ルネ「ちょっと〜!私のこと弄んでるの?」

憂ヰ「弄んでないよ?」

ルネ「えー?」

憂ヰ「文字通りのまま。」

ルネ「文字通りって言われても」

憂ヰ「文字通りだってば。」

その会話のやり取りをしつつ、憂ヰは考えていた。

憂ヰ「(どうしようかな...)」

ふと、先日、田舎に行ったときに買ったいなり寿司の存在を思い出した。

憂ヰ「ルネ、そのまま止まって。ステイ。」

ルネ「えっどういうこと…」

憂ヰ「いいから!」

ルネ「は、はぁい」

憂ヰはそーっとルネの近くにいる狐に近づき、いなり寿司を食べさせた。

憂ヰ「ごめんね、こっくりさん。」

その狐が急に喋った。

狐「…ふむ、心優しき人間よ。感謝するのじゃ。それじゃ。」

気がついたときには消えていた。

ルネ「もういい?なにしてたの?」

憂ヰ「いいえ、何も」

ルネ「ふーん…そう。」

不甲斐なさそうにルネは憂ヰを見た。

そうしてその日は夜が更けていった。


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