第2話「登録者+10人!? ゴブリン戦でまさかのバズり発生」
森の奥から、ギャアアア!という叫び声が聞こえてきた。
いや、俺の声だ。
まじで今、ゴブリンに追いかけられてる。
「無理無理無理無理ッ! なになになになに?どういう状況?!!なにあれ?ゴブリン?!!」
目の前に草むら、後ろからドスドスと足音。
たぶん距離は5メートル。気を抜けばすぐ殺られる。
《チャンネル登録者+1》
《現在のステータス:ザコ+0.1》
《“実況ボーナス”発動中:感情値+12%》
《スキル獲得"コメント伝達"以降ランダムでコメント欄のメッセージをお届けします。》
「バフついてる場合かァアアアア!!」
《コメント:なにこれ?CG?/走り方やばw/ゴブリンキター》
こいつら呑気に楽しみやがって…。だが、俺は悟った。
――逃げるだけじゃダメだ。魅せなきゃ、バズらなきゃ、強くなれない。
「はぁっ……! みんな、聞こえてるか!?みんなのチャンネル登録が俺の強さになるっぽい!頼む登録してくれ…!って!ヤバ!おいおいおいきたきたきたきた!!こいつ、今めっちゃ鼻息荒い!近い!近すぎるってば!!ひぇーーーーーーーー」
やけくそで叫んだその瞬間。
《チャンネル登録者+3》
《コメント:草/ヤバいww/なんか好きかも》
――え、ウケてる?俺がこいつと戦うのがウケてるのか?
「よぉし……わかったよ……!やってやる!」
俺は立ち止まって振り返る。
ゴブリンがこちらに牙を剥いて突っ込んでくる――
「配信者魂、見せてやるッ!」
落ちていた木の棒を掴み、腹の底から叫んだ。
「ゴブリン解体ショー、開幕じゃあああああ!!」
――バチィン!
棒が思いっきりヒット。
というか、ヒットした瞬間――
《チャンネル登録者+6》
《“興奮値MAX”→ステータス爆増:ザコ+2.4》
《スキル《バズ・チャージ》を獲得しました》
ゴブリンが吹っ飛んだ。いやマジで。
「……は?」
俺、今、勝った?
そしてその瞬間、画面の奥でコメントが爆発していくのが、見えた気がした。
《コメント:無駄にクオリティ高くて草/ヒロトってやつ、クセになるww/また見に来よ》
――この世界で生きるには、戦うには。
俺は、配信者としてバズり続けるしかないってことか。
「……上等だ。バズって最強になってやるよ、このクソ世界」
「次回、女の子と出会ったら登録者激増!?ヒロイン登場で一気に視聴率ブチ上がる!」
ついにかわいい子でてきます!お楽しみに!
チャンネル登録もお忘れなく!