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【配信者転生】登録者=強さの世界で底辺実況者が最強に!  作者: 山中海
第二章【異世界配信者、魔界配信編】
16/32

第16話【異世界配信者、魔界でも無双します】

 


 ――真っ暗だった。


 全身を包み込むような、冷たくて重い闇。その中を、どこまでも落ちていくような感覚があった。


「……ミレリア……!ミレリア……ッ!!」


 叫びが虚空に吸い込まれていく。応答はない。


 次の瞬間、重力が反転するような衝撃とともに、ヒロトの身体は石のように大地に叩きつけられた。


「う……ぐぅ……どこだ、ここ……」


 目を開けると、そこには異様な世界が広がっていた。


 赤黒く染まった空。荒れ果てた大地。木々は枯れ、岩は浮き、空には裂け目のような紫の光が走っている。


《現在地:詳細不明…取得中》

《転移先:魔界大陸エリア・北東部“アングラ盆地”》

《共同配信者”ミレリア”がスキル効果範囲にいない為、個人モードに切り替えます》


「そうだ!ミレリア!!」


 ヒロトは立ち上がると、まずミレリアの姿を探す。しかし、どこにもいない。


「くそっ……スキル対象外って事は今、ミレリアは元の状態。早く見つけねぇと……!」


《チャンネル登録者:4420人》

《コメント:どこやここ!?/ミレリアちゃん無事!?/異世界から異世界行ったやん……!/観察者の眼つかお!》


「……そうだ。その手があったか!!スキル発動!」


《エラー:観察者の眼は一対象につき一度しか使用できません》


「くそっ!!そうだった!……でも、焦るな…ミレリアは強い子だ。大丈夫。俺はまず、状況を整えて、彼女を探す!」


 深呼吸し、ヒロトは目を閉じる。身体は満身創痍だったが、内から湧き上がる意志が、彼を支えていた。


 ――その時、遠くから助けを求めるか細い声が聞こえた。


「たす……けてぇー!」


 ヒロトは即座に走り出す。


 黒煙が立ち込める瓦礫の向こう。崩れた石造りの廃屋が見えてくる。


「うぅ……やめてよ……!」

「や、やめろよぉ……!」


 中では、異形の小さな魔族たち――幼い角や翼を持つ子どもたちが、数人の大人の魔族に囲まれていた。


「魔族が魔族の子供を襲ってるのか…?ったくなんなんだ。」


「ガキども、これが現実だ。ここは魔界、弱い者がどうなるか教えてやるよ」


 その中のひとり、筋骨隆々の獣人型魔族が唸るように言い放った――その瞬間だった。


――ズドォンッ!!


 壁が破壊され、埃とともにヒロトが突入する。


「おい、オッサン。子ども相手に何イキってんだ?」


「……なんだてめぇ。部外者が口を出すな!」


「そういうの見てると、黙ってられねぇ性分でな!」


 ヒロトが笑みを浮かべて構えを取ると、空気が震える。


《登録者数:4460人》

《コメント:キターー!!/悪党退治や!!/いったれーーー》


「おい!みてみろよ!コイツ人間だ!しかももうボロボロだぜ?くっちまおうぜ!!」


 獣人型の魔族が唸りながら、巨体を揺らして殴りかかる。


「遅ぇよ」


 ヒロトは一歩も動かず、その拳を片手で受け止めた。


「な、なにっ!?」


「悪いけど今の俺は、手加減できねぇぜ!」


 そのまま拳を押し返し、逆に男の腹へ拳を突き刺す。


――ズガァァンッ!!


 獣人魔族が壁をぶち破って吹き飛ぶ。


 残る魔族たちが一斉に武器を構えるが――


「全員でかかってこいよ」


「人間風情が粋がるなぁ!」


 飛びかかってきた魔族たちを、ヒロトは躊躇なく迎え撃つ。

 一撃、また一撃。その全てが的確に急所を捉え、圧倒的な速さと力で敵を薙ぎ払っていく。


《コメント:ヒロト無双タイム/BGM変われ!/映画かよこれ!》


「ヒ、ヒィ……お前……人間のくせに、ま、まさか勇者か……?」


「うるせぇ。さっさと消えろ!二度と子供に手ぇ出すんじゃね!」


《コメント:惚れる/名言きた!/スカッとジャパン案件!/ヒロト勇者説浮上》


 ヒロトが振り返ると、子どもたちは怯えながらも、目を輝かせて彼を見ていた。


「お兄ちゃん……助けてくれて、ありがとう……!」


「困ってる奴を放っておけないんだよ。……名前、教えてくれ」


「ぼ、僕はルズ!この子たちは、同じ村の子たち……村が襲われて逃げてきたんだよ……新しい魔王様になってから、大人達がおかしくなっちゃって」


「そっか……大変だったな。でも、もう大丈夫だ。ここからは、俺がなんとかするから」


 ヒロトは小さく笑い、空を見上げる。


(ミレリア……待っててくれ。俺、今度こそもっと強くなる)


 魔界の空は不穏に揺れていた――だが、彼の目は前を、まっすぐに見据えていた。

最後まで読んでくださってありがとうございました!


今回は久々に、ヒロトの爽快な無双シーンをお届けしましたが、いかがでしたか?


今回の裏設定としては


魔族モブあらくれたちの戦闘力は登録者換算すると

300人程です。

手加減できないといいつつヒロトはかなり手加減してたんですね。


次回は新たな仲間や敵も登場し、物語はさらに加速していきます!


ヒロトの「魔界編」、ここからが本番です。

ぜひ、次回もお楽しみに!


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