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【PERFECT】 トゥルー・エンド ≪後編≫

 悪の帝国に蹂躙(じゅうりん)された世界が平和を取り戻してから、半年ほどが過ぎた頃でした。

 聖サファイアの王都の神殿に、生まれたばかりの愛らしい子供が捨てられていました。


 その子供は長じるほどに、麗容と聡明さが際立つようになりました。

 いったい、どこの誰がこれほど優秀な子供を捨てたりしたのだろうかと、人々はさかんに不思議がりました。


 ある日、下界とは時の流れの違う天界に住まう光の聖女が、下界の視察に舞い降りました。

 緑石のペンダントに導かれた光の聖女は、王都の神殿で、前世からの強い(えにし)で結ばれた、愛し続けた青年にそっくりの少年に巡り合ったのです。

 その少年は、すべての罪業を許され浄化された彼女の想い人そのもののようでした。

 美しい紫の瞳もその魂も、光の聖女にとって、とても懐かしく慕わしいものでした。

 愛した少女を失い、狂ってしまう前の彼のものでした。



 涙を落とした光の聖女が、ようやく、もう一度巡り会えた想い人に駆け寄るのを、少し離れた木の間から、二つの人影が見守っていました。

 運命に引き裂かれた恋人達の再会を見届けると、まるで、最初から幻だったかのように、その二つの人影は虚空に溶けるかのように消え去りました。



  **――*――**



「ガゼル様――!」


 明るい子供達の声が聞こえます。


 公国の廃墟に戻った二人は、わずかばかり生き残った人々が暮らしていた集落に、滅亡前の公国での身分は明かさないまま身を寄せました。

 略奪と暴虐の限りを尽くされ、闇の神の加護を失い、見る影もなく荒廃した公国の廃墟の環境は極めて厳しいもので、人々の暮らしは滅亡前とは比べ物にならない貧しさでした。

 それでも、闇巫女デゼルの魔力が公国の絶望の闇を安らぎの闇へと変容させ、公国の夜に滅亡前の優しさを取り戻しました。

 さらに、夜明けの公子ガゼルの魔力で厚い黒雲に覆われた空から光が射すと、その光はそのまま、人々の希望となりました。


 今は廃墟でも、公国はいつか、その美しかった姿を取り戻すでしょう。


 少なくとも、滅亡後に生まれた子供達の声には、それを予感させる希望の響きがありました。

 大地もまた新たな命を芽吹かせ、優しい新緑の輝きが、灰色にとってかわってゆくのでした。

この物語は『悪役令嬢と十三霊の神々』シリーズの『転生者がいない場合のシナリオ編』です。

◇ https://velvet-kazakiri.ssl-lolipop.jp/kaza/dezel/

※ 個人サイトの方には、なろう様には投稿できないR指定のシリーズ短編のご案内もあります。



★☆ ご評価ありがとうございます ☆★


 悪役令嬢が運命に抵抗しなければ『こう』なっていた、神々の祝福をもって書き換えるためのシナリオ編ということで、この短編へのご評価は頂けないと思っていたのですが、☆評価ありがとうございますv(*´∇`*)

 トゥルー・エンドの方だって、あくまで光の聖女のために用意されたハッピーエンド。

 闇の聖女のために用意されたハッピーエンドはシリーズ本編となっていますので、そちらの方にも、ご興味を頂けましたら幸いです。

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