第5話 運命の岐路
それから七年が経ち、二人はいつしか、結ばれることはないと知りながら、静かに見詰め合い、想い合うようになっていました。
そんなある日のことです。
禁断の魔術を極めたネプチューンが、最愛の少女ユリアを復活させる儀式のため、恐ろしい災厄を引き起こして世界を震撼させました。
デゼルはネプチューンに恐怖しましたが、その心は揺れました。
本当にユリアが復活したら、ネプチューンはデゼルを解放してくれるかもしれません。
そうしたら、もしかしたら、ガゼルともう一度――
ガゼルは優しく誠実で、たぐいまれな麗容の持ち主です。
たとえ公子の地位を失っても、ガゼルなら、誰とでも幸せになれるとわかっていながら、デゼルはもう一度、ガゼルの手を取りたいと願ってやみませんでした。
たとえ触れ合うことができなくても、この七年、ガゼルが傍にいてくれて、どんなに――
同じ七年の間に、デゼルは闇巫女が死んでしまっても、闇主が死ぬことのなくなる魔法のアイテム『月齢の首飾り』を手に入れて、ガゼルに贈っていました。
いつか、ガゼルが愛する人を見つけてここを出て行く時には、ガゼルが『月齢の首飾り』をかけていることを確かめて、命を絶とうと思っていました。
ガゼルがいなくなったら、デゼルはきっと、生きていけないと思ったからです。
別れた後まで、ガゼルがデゼルに贈られた首飾りをかけているはずがありません。
だから、その前に。
災厄の日から、デゼルはネプチューンの恐ろしい悪事に加担する蠱惑の魔女として、人々に憎まれ蔑まれながらも、ネプチューンの望みに支障のない範囲で、密かに、ガゼルと一緒に犠牲者を助けて回るようになっていました。
ユリアそっくりの光の聖女に出会ったネプチューンがデゼルを夜伽に呼ばなくなって、数ヶ月が経つうちに、デゼルはいよいよ、ユリアが復活すれば解放してもらえるのではないかと、儚い望みに強くすがるようになっていました。






