第六話 「相乗効果」
今日は複数回投稿したいのでまず朝に投稿しようと思います。土曜日ですがプレビュー数の調査も兼ねて朝に予約投稿をおこなっています。
第七話は完成次第投稿します。今日の目標は第八話まで投稿できたら嬉しいです。
「ごめんなさいクリスさん。斬りつけられなかったです……」
剣を引き抜いてクリスはしょんぼりと項垂れる。
「ああ……そうだね。【斬りつける】のには失敗したね。大丈夫、大丈夫……気にしなくていい……よ?」
おかしい。この結果はありえない。【15歳の少女が『加速』の魔術を使用しただけ】で発生する剣撃の威力じゃない。
何が起きているんだろうか……?
「ねえニーナちゃん、ちょっとその剣借りていい? 僕も試し斬りしていい?」
「はい……いいですよ」
ニーナは悲しい表情をしながら手渡してくる。
なんで悲しんでるんだろうなあと思いながらクリスは受け取る。そもそも彼女はこの威力を当たり前と思っているのではないかと疑問にすら思った。
クリスも剣術の心得は多少ある。それはアーデルベルトが製作した剣の試し振りをよくしていた。そのため剣の素振りを何百回もしているのだ。
クリスはこの試し振りにいつもうんざりしていたが、この経験が意味を持つことになってしまったことにさらに悲しくなるのであった。
クリスはニーナが斬った木とは別の木に狙いを定める。
クリスはニーナほどの速度ではないにしろ、全力で駆け、全力で木に斬撃を放つ。
「はあああっ!」
そこには木の表面が削り取られ、剣が斬られた跡が残っていた。
跡の深さは10センチくらいだろうか。クリスはさすがアーデルベルトの剣の切れ味と思いながら、予想通りの結果に安堵する。
そう。本来ならこのくらいの結果なのだ。それなりに育った木はやはり固く、やすやすと木の幹を半分ほど斬れるわけがないのだ。
ニーナには練習の度に『身体強化』を付与しているが、この『身体強化』という魔術はそもそも対象者の筋力などを底上げするのではなく体を頑丈にさせるというものである。
そのためニーナの斬撃と『身体強化』には関係性はない。
「うーん……ニーナちゃんって本当に『加速』以外の魔術が使えないんだよね?」
「……本当ですよ? もう一度『情報閲覧』してみます?」
「そうだね。してみようか。『加速』のレベルも上がっているかもしれないしね
『情報閲覧』」
ニーナ・ライトワール
体力 200/210
魔力 500/510
使用可能魔術
加速 レベル3
スキル
天真爛漫 レベル7
物理耐性 レベル1
エクストラスキル
努力の天才
「……『加速』が初めて見た時から2つ上がっているね。おめでとう。
でもこの剣撃の威力につながるスキルとかはないね」
「何を探しているんですか?」
「『剣術の心得』とか『怪力』みたいなスキルがあると木を半分くらい斬れる結果に繋がる可能性はあるんだ。
だけどそれがない。
つまり『加速』の能力がこの結果をもたらしたって考えるべきだね」
「『加速』にそんな効果が……?」
「……分かった!! ニーナちゃん、それってたしか魔鋼剣だよね?
その魔鋼剣に『加速』を付与できる?」
「もしかしたら無意識にしていたのかもしれません! 試してみますね!」
―――『加速』。
魔力を魔鋼剣に流し込む。この魔鋼剣は魔術の属性を付与できるアーデルベルトの特注品である。
クリスの予想は正しかった。剣にニーナと同じ蒼いオーラを纏うようになったのだ。
「やっぱり、そういうことだったんだね。
『加速』が剣に付与されたことで剣の速度も上がって、それと同時に剣の威力も上がったんだ!」
クリスのこの仮説は1つ正しくて1つ間違っている。
剣の振る速さが上がったのはもちろんだが、この結果はニーナの『加速』のレベルが上がり接近する速度が上がったことにも起因している。
運動エネルギーというものをご存じだろうか。
これは中学三年生の理科で習う(らしい)のだが、所持者や剣の重さを増やす、もしくは【速度を上げる】ことで剣と木がぶつかる時に威力を上がる。
ニーナはもちろん、クリスもこの運動エネルギーの存在を知らなかった。この法則によりニーナが斬撃を行う時の威力が上がったのだ。
剣を振る速度とニーナ自身の速度。これにより相乗効果を生み出し、あのような結果となったのだ。
だが、ニーナとクリスはこれを知らないまま練習を進めていくのであった。
「これは、使えるね。初級どころか中級の攻撃魔術に匹敵しているよ。
もしかしたら『加速』のレベルを上げて、他にも『剣術の心得』や『怪力』を取得したらもっと威力が上がる。つまり冒険で活躍できるかもしれないよ!」
「本当ですか⁉ だったらもっと頑張らなきゃ!」
「そうだね! 今日は予定を変更しよっか。剣の練習をしよう。剣に『加速』を付与させるのを慣れるだけじゃなくて、木をたくさん斬ってスキル取得にも挑戦してみよう!
【一回の斬撃で木を完全に木を斬れたら】スキルを取得できるかもしれないしね!」
「そんな強さをもてたらカッコイイだろうなあ……! じゃあ魔力を使い切るまで練習します!」
「もし疲れたら言ってね。適度に休憩をいれながら練習しようね」
「はい!」
本来ならFPSゲームであるApex Legendsもしたいのですが、システムが色々変なのでやる気が起きないですね……
過去にPixivで二次創作を投稿していましたが、長編を書くのは二回目でなんですよね(最初の長編は失踪しました)。
ただこの「魔術世界の剣姫」はすごいスラスラ書けるんですよね。とてもいい傾向です。
第六話はキリがよかったので少し短めにしました。
誤字脱字あったら報告よろしくお願いします。
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