女神
ドッと疲れはてた僕は早めに帰宅した。
「あら、早いわね」
「うん、ちょっとね」
真っ直ぐ自分の部屋に入り荷物を置き、ベッドに倒れこむ。
「はぁーー疲れた。散々な日だったなぁ…まさかあんな事に巻き込まれるなんて…。そういえば、あの子ウチの学校の制服着てたな…」
と考えてる内に眠りについてしまった。
泥のように眠ってしまった僕は夜中に目が覚めた。
「やべ、こんなに寝てしまった…ん?メール?」
スマホを見てみると数件みーちゃんから
[ターくん、良い写真撮れた?]
[今日見た映画あんまり面白く無かったよ]
友達と撮った写メなども添付してある
そして、馴染みのないメールが1件
[こんばんは。今日助けて頂いた北条茜です。都合のいい日教えて下さい!時間とか合わせます!待ってます!]
「ほうじょうあかね…?」
本当に連絡来た…。
都合の良い日って言ったって…すぐ返信すべきなのかな?いや、夜中だし、昼間とか夕方の方が良いよね…
テンパりながらも翌日考える事にし再び眠りについた。
そして朝、学校
僕は2-2の教室へ向かう
席は1番後ろの端の席
「おはよう、ブタミ!今日も太ってんな!」
「あ、おはよう田中」
こいつは、田中。
一見するとアイドル大好きなオタクのような感じの人だ。その通りなのだが僕の唯一と言っていいくらいの友達だ。
「あのさ、田中。北条茜って知ってる?多分この学校の生徒なんだと思うんだけど…」
田中のメガネがフラッシュの如く光を放った
「北条茜ですと!?知ってるも何も我が校の五本の指に入る女神!その1人茜たんではないか!!あのサラサラな髪に触れてみたいでござるなぁ〜。
それにその五本指のもう一本にはお前の大好きな美鈴先輩も入ってるですぞ!!」
そう、田中は何でも知っている。
学校中の女子をチェックしているのだ
「いや、べ、別にみーちゃんは大好きとかじゃないから!ただの幼馴染。そんな有名人だったのか…知らなかった」
「気安くみーちゃんなどと呼ぶな!!どーやったら知らずに居れるか逆に聞きたいですぞ!でも、茜たんがどうしたのだ?」
昨日起きた事を簡単に説明する
「はぁ!?茜たんを痴漢した!?」
クラスの皆がこちらを見る
「田中!声がデカイ!それに言い方!皆見てるから」
「おっと、失敬失敬。皆の者気にするでない」
田中うぜー
声でけーんだよ
キモいー
ブタミー田中が移るぞ〜
クラスから野次が飛び交う
「それで、連絡先を交換したと…てめぇ!ブタミのくせに!」
田中は凄い形相で首を締めてくる
「なんでお前ばかりにそんなラブチュッチュなラブコメ展開が!?」
泣きだす田中
「で、いつ会うの?拙者も行ってよいか?」
「いやいや、まだ行くって決めてないし僕女の人と喋ったりするの苦手だから…」
「なにぬかしとんじゃテメェ!それでもキャンタマついてんのか!?あぁ??今日中に決めやがれ!今日決められないのならお前は死ね!!!」
田中の気迫に押され今日中にどうするか決める事になってしまった
昼休憩僕は田中の質問責めに圧倒され田中からやっとの思いで逃げ出し弁当は部室で食べることにした
無事に部室に入ろうとしたとき
「田中追ってきてないよね」
キョロキョロと確認していると
「あ!」
「あ!」
そこには、サラッとした黒のロングヘアーの子が立っていた
「北条…さん?」
「はい…大沢君ですよね?」
「あ、はい、なんで僕の名前…?」
「あの…その…目立つから…知ってました。昨日はありがとうございました」
「この図体ですからね、ははは…」
気まずい!このタイミングで出会うなんて!
昨日は色々テンパってて分からなかったけど、ちゃんと見ると田中が言ってた通りの美人だ。
「女神…」
ボソッと口に出てしまった
「え?めがみ?」
「あ、いやいや、なんでもないです!」
「そうだ!予定空いてる日ありましたか?」
キーンコーンカーン
「あ、時間!行かなきゃ!また教えて下さい!」
また昨日のように小さく手を振って走って行ってしまった
微かに香る甘い髪の匂いがそこには残っていた
「弁当たべれなかったなぁ」
「ふふふふ…見てましたぞ!」
「げ、田中!」