表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/34

ケーキと手紙

夜道を歩いていると電話が鳴った。

橋本さんからだった


「もしもし?」

『大沢〜』

めちゃくちゃ泣いている。

「どーしたんですか⁉︎」

『私もう無理ー』

「え!?」

歩いている途中座り込んで僕に電話かけている橋本さんをたまたま見つけた。

「ちょっと橋本さん何してんですかこんな所で!」

「え?なんで?今私電話掛けてるの誰?」

「いや、僕ですから!」

僕は上着を貸してあげた。

「風邪引きますよ!」

「ありがとう…」

「店長と何かあったんですか?」

「あった…。」


まぁその事だろうとは思っていたけどこんなに橋本さんが泣くなんて想像もつかなかった。


「お前が寝てる間に私酔っ払っちゃって、ハセちゃん途中まで送ってくれたんだよ。」

「はい…」


「酔っ払ってたしハセちゃん居るし結構気分良かったんだよね。もう、今言うしか無いって思った。」


「マイちゃん!大丈夫?帰れるかい?」

「うん…。ハセちゃん。」

「なーに?」

「私ね…あの…」


「お父さ〜ん」

「あーゆかり〜迎え来てくれたのか?」

「うん!ママと一緒に来た!」

「あなた、ゆかりが風邪引いちゃうから。」

「おぉ!ゆかりーマイちゃんだよ〜こんばんはは?」

「こんばんは!」


「あ、あぁ…こんばんは〜。」

「マイちゃん、うちの嫁さん。初めて見るよね!」

「うちの旦那がお世話になってます〜」

「あ、いえ。こちらこそいつも良くしてもらっていて…お子さんかわいいですね。」


「マイちゃん帰れるかい?」

「大丈夫。タクシー拾うから。」

「そっか!ゆかりお姉ちゃんにバイバイは?」

「お姉ちゃんバイバイ!」


「うん、バイバイ。」


ハセちゃん達はこっち向いて頭下げて帰っていった。ゆかりちゃんはずっと手を振ってくれていた。


「そうだったんですね。」

「何も伝える事すら出来なかったよ。あんな幸せそうなの見てしまったら言えるはずがない…」


僕は少し難し過ぎて何も言えないでいた。


「もし、言ってたとしても、なにも変わらなかったんだろうけどな。

言ってしまえば私は楽になるけど。もし、言ってしまえばあの家庭を崩壊させる可能性だって無くはないし、ハセちゃんは絶対に悲しむ。優しいから。」


「…そう思ったら全て怖くなってとても言えなかった…。」

「あの子の笑顔見たら私は何を考えていたんだろう私はこの子の笑顔奪ってしまう奥さんを傷付けてしまう…うぅ…」


「辛かったですね。」

「うん…。」


しばらく橋本さんは泣いていた。

泣き止むまで側に居てあげた。


「橋本さん温かいコーヒーです。」

「ありがとう。」

橋本さんはタバコに火をつけ一服した。


「タバコ吸ってたんですね。」

「あぁ…ずっとやめてたよ。バイト初めてからずっと。まぁ今日くらい良いじゃん。」


タバコの匂いと橋本さんのほんのり香水の香りがなぜか切なく感じた。

橋本さんはふーっと煙を吐いた


「お前はどーだったのよ?」


「はは…フラれたっぽいです。」

「ゴホッゴホッ…ははっじゃねーよ。まじ??なんで??」


僕はその時の状況を説明した。

「そうしたら、走って行っちゃって…」

「追いかけなかったの?」

「もう何がなんだか…頭真っ白になって」


「そうか。」

「やっぱり僕みたいなデブにはあんな可愛い子が寄ってくるはずが無いんですよ。僕あの時余裕もなにも無くて、勝手に言葉が出てしまって…」


「まだ諦めるのは早いんじゃないか?茜も何か思う事があったんじゃない?そんな返事もせず逃げるなんて。」

「いや、もう分かんないです…。僕にとって全てが初めてで、この数ヶ月間全部が新鮮で凄く楽しかったです。」


「茜は返事もせず終わらせるような子じゃないからまだ諦めんなよ。」


橋本さんは優しく抱きしめてくれた。

僕は橋本さんも辛いのにその優しさにも自分が何も出来ない悔しさで沢山泣いた。


「そろそろ帰るか。酔いも完璧覚めたしな。」

「はい。橋本さんありがとうございます。」

「大沢もありがとうな」


そして帰宅した。

部屋の明かりをつけるとテーブルにケーキが置いてあった。

手紙も一緒に挟んであった


【ター君メリークリスマス!この絶品ケーキを少し分けてあげよう!どう?美味しい?結構上手く出来たんだー!

ター君昨日はごめんなさい。困らせたよね。

あ、これ玄関でも言ったよね笑

ター君は誰よりも優しい。ター君は誰より気遣いも出来る。でも不器用。

たまには強引になっても良いかもね!本当に最近は変わってきたと思う。私も見習わなくっちゃ!って思う。

自分に正直になって下さい。そして、もっと強くなれ!

どうしても駄目な事があればお姉ちゃんに任せなさい!なんてね。

いつだって私はター君の味方だから。私が困ったら助けてね?ター君が困ったら私が助ける!

そこは昔と変わらず居ようね!

隣の家の最高のお姉ちゃんより♡】


ボロボロと涙が出てくる。

涙って無くなる事ないのかな。

「みーちゃん…ありがとう。最高に美味しいよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ