痴漢です
ピピピピピッピピピピピッ
「うーん、もう朝かー」
写真を撮る為早々に支度をする。
「よし!忘れ物なし!」
特にどこに行くという計画も立てていなかったので電車で20分程の浅山湖という湖に行く事にした。
「行って来まーす」
外へ出ると
「あ、ター君!今から出るの?私も今から出るとこ!どこ行くの?」
「今日は浅山湖に行ってみようかなと」
「浅山湖かぁ!あそこカメラスポットだもんね!じゃあさ、途中まで一緒に行こうよ」
「うん、良いけど。」
駅まで喋りながら向かった
「じゃ、私こっちだから!撮った写真見せてね?」
「良いのが撮れたらね!じゃみーちゃん気をつけてね」
「ター君もね!バイバーイ」
今日は人が多いなぁ
学生やサラリーマンが沢山居た。
「さぁ戦場だ」
この電車が僕の運命を変えるだなんて今の僕はまだ知らない。
ギュウギュウな車内
(すいません。すいません。僕の領域が広過ぎて。)
(僕がもっとスマートならあと1人分はスペースがあるのに)
こんなことをずっと心の中で思っている
電車が少し揺れバランスを崩してしまい横に居たおじさんに腹が当たってしまった。
ぶよん
「あ、すみま…」
〇〇駅ー〇〇駅ー
電車が駅に着くなり、ギロッと睨まれ走り去って行った
僕もちょうど降りる駅だった
「はぁ…今日はなんだかツイてないな…」
その時
「はぁはぁ…す、すみません。」
凄く息を切らしてる女の子が僕の腕を掴んできた
「えっ!?」
「はぁ…ち…ち…」
「ち!?」
「痴漢!ちょっと警察まで付き合って貰えますか!」
「えー!?ちょっちょっと僕なにも…」
そのまま近くの交番へ連れて行かれる羽目に
引きずられるがまま
「痴漢が出ました!」
ラーメンをすすってる中年の警官が1人
「な、なんだって!?お嬢ちゃん大丈夫かい!?」
「あ、私は大丈夫です。」
「それは良かった!って、あっ!お前か!ちょっと来い!」
「ぼ、僕じゃないですー」
「うるせー!痴漢した奴は大体そーゆうんだよ!お嬢ちゃん捕まえてくれてありがとな!でも、危ないからあまり無闇に手は出さない方が良いぞ!」
「ちょっとお巡りさんその方は…」
すぐさま事情聴取が始まり
「君、いくつだい?」
「17です…」
「はー?嘘つけ!んな腹して!ビール飲みすぎだろ!んーじゃーまぁいいや保護者の連絡先教えて。」
何かと適当な所を見せる警官
「ちょっと待ってくださいー」
あー母さん父さんに何て説明しよう…
みーちゃんとか恐ろしいな…
「琢己、母さんは信じていたのに!」
「お前なんか勘当だ!出ていけ!良いよな母さん!」
「えぇ良いわお父さん」
「ター君、サイテーだね。あんたと幼馴染とかヘドが出る」
とか、そーなるんだろうな…
もうこの街には居られない
いっそのこと死んでしまった方が…
「……さん、お巡りさん!違うんです!この方は私を助けてくれたんです!恩人なんです!」
僕と警官が同時に
え!?と驚く
「なんであんたが驚くんだい?」
「あ、いや…」
「私が痴漢されそうな所を体を張って守ってくれたんです!こう、ドーンって」
僕は思い出した。
あの時睨んできたおっさんだと
「なーんだ、お嬢ちゃんも早く言ってくれれば良かったのに!まぁでも、よく見れば君なかなかの好青年じゃないか!よっヒーロー!」
全くこのおっさんは…
そして、犯人の特徴や覚えていることを全て伝え
「はい、はい、じゃあ以上で終了ですっと。時間取らせちゃって悪いね!気をつけて帰ってねお2人さん」
警官は笑顔で手を振っていた
ペコッとお辞儀をする
「あの…なんか色々ごめんなさい。」
「いや、ぜ全然!」
「こんな事になるなんて思ってなくて…でも本当にありがとうございます!凄い怖くって…」
「いや、本当気にしなくて、無事で良かったです。」
ただの偶然でなんて言える筈もなく
それに僕はみーちゃん以外の女の人と喋ったりするのが苦手だ。
早くこの場を立ち去りたかった
「あの、差し支えなければ連絡先教えて頂けませんか?今度何かお礼させて下さい!」
「お礼だなんて、そんなのいいですから!」
「させて下さい!」
「あ、はぁ…じゃあ」
まぁこうゆうのは社交辞令のようなものだろうささっと連絡先の交換済ませてしまおう
「ありがとうございます!また後日連絡しますね!本当にホントにホントに今日はありがとうございました!じゃあまた…さよなら!」
その子小さく手を振って走って行ってしまった。
「…………帰ろ。」