嬉し泣き
「私は絶対獲れると思っていたんだよ!大賞だぞ!喜べ!」
先生は異常なほど喜んでいた。
「なんか実感ないです…」
「そうだよな。展示会に展示されるようだから行ってみると良い。」
「分かりました。」
帰宅すると今日はみーちゃんが来ていた。
「ター君最近遊んでくれないからつまんないー!」
「バイトとかで忙しかったから。」
「たまには私と遊んでよね!…茜ばっかり…」
「あ、じゃあさ。僕の写真が大賞獲れたみたいで先生が見に行ってこいって言うから一緒にどう?」
「大賞!?すごくない!?見たい!絶対行く!」
「実感なくて。素直に喜べないんだよね」
「じゃあ土曜日!」
みーちゃんと展示会に行く事になった
「ター君っとデート!デート!」
「デートとかじゃないから!」
「ター君はノリが悪いなぁ〜。」
「ここだ。」
「こういう所って緊張するんだよねぇ」
「僕も少し緊張する」
2人な中に入った。受付を済ませ館内を見て廻る
どれもレベルが高い
先生のジョークなんじゃないかと疑い始めた
「どれも凄いね。」
「レベル高いよ。本当に僕のがあるのかな?…あ。」
そこには大きな綺麗な額に入った僕の作品がどの作品よりも大きく展示されていた。
「これ…ター君の…?」
「うん…。」
大賞 大沢琢己
ちゃんと記載されていた。
「わぁ…素敵…。この子茜…だよね?綺麗…。」
「………。」
僕は言葉も出なかった。
2人は引き込まれるように時間を忘れ眺めていた。
「圧倒されましたター君!」
「僕もだよ。本当に良い作品だと思った。」
僕は生まれて初めて嬉し泣きというものをした。
後日、部室で先生と話をしていた。
「先生、ありがとうございました。」
「おぉ、どーだった?」
「なんか、展示してあるの見たら感動してしまいました。」
「まぁ、あの写真は本当に素晴らしかったからな。でも大賞まで撮るとは驚いたぞ!部員入ってくると良いな!」
「はい!」
「そこでだ。私とお前で秘密にしといて欲しい事がある。」
「え、なんですか?」
先生はスッと何やら封筒を出した
開けて見てみると僕はビックリした。
「なんですか!?この大金‼︎」
「コラ!声がデカイ!これは…部費だ。お前カメラ壊れたんだろ?それで買え。」
「でも、部費ってこんなに出ないですよね?」
ギクっ
「あのーそれはな…」
机にあの時のチラシが残っていた。
先生はそれを見つけ隠そうとした、僕も負けじとチラシを取り返す!争奪戦が始まった。
見事奪いとった
「大賞…賞金50万!?!?」
口笛を吹いて誤魔化す先生
あまりちゃんと見ていなかったので驚いた
「ち、違うぞ!高校生にそんな大金持たせる訳には行かないからな!あくまでも私がキチンと管理して、預かっておくだけだぞ!」
「ほ、ほらこれで合宿にも行けるし必要な物は揃えれるだろ?あ、く、ま、で、も、部費だ‼︎」
「じゃあちゃんと管理して下さいね。」
「はーい!この事は他言無用で。」
「はいはい。」
あの日、やけに嬉しそうだと思ったら…ロクでもない先生だ。
ガラガラガラ
「すみませーん。こんにちは。」
先生が帰ろうとした頃、部室の前に小柄な女の子が立っていた。