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給料日

体育祭も終えてまたいつもの日常が戻ってきた。

土日は昼間にアルバイトに出勤する。

「おつかれ様ですー!」

「大沢くんお疲れ様!はい、これ明細。」

「明細?」

「今日給料日だからねん!初給料良かったねぇ!一応確認しておいね?振り込んであるから!」

「給料日!え!?良いんですか!?こんなに貰って!?」


「当たり前だよ〜それが大沢くんが頑張った分の報酬だよん!はい、初給料祝いにジュース奢ったげる!」


「ありがとうございます!わぁーこんなにあるなんて!」


「初給料何に使うの?茜ちゃんとデートでもするのかい?このこのー!」


「カメラを買おうと思ってこのバイト始めたので!」


「あら、そーなのかい?カメラなんかしてたんだ!」

「はい、ちょっと壊れちゃって」


「そんな趣味があって良いねー!買ったら僕撮って!」

「良いですよ!モデルになって下さい!」

「オッケーオッケー!マイちゃん怒るし仕事始めましょー!」


今日は気分が良かった。初めての給料に浮かれてしまう。

でも茜さんにお礼しなきゃなぁー

今晩連絡してみよう。


「お疲れ様でした!」

「大沢。付き合え。」

え?何?怒られる?何かしたっけ?


「あの…」

「ちょっと聞きたい事があってな。」

「はぁ…なんでしょうか?」


「あの…男って何を貰ったら嬉しい…?」

「え!?」

「ち、違うぞ。そんな変な意味じゃなく。この間ハセちゃんにDVD借りて面白かったからそのお礼に…世話にもなってるし…この前ランチ奢ってくれたし…。」


「んー店長が何が良いかとか僕分からないですよ!」

「役立たず。」

「ヒドイ!あ、そーだ、良いお店知ってますよ。」

「ホントか??」


僕達はみーちゃんの誕生日プレゼントを買った雑貨屋に行った。


「ここです!」

「お前。体型に似合わずオシャレな店知ってるんだな。」

「体型は関係ないですけど、たまたま見つけて。色んな物ありましたよ?」


カランコローン

いらっしゃいませー


「本当だ。色々あって逆に分からん。」


「何かお探しですかー?」

「あ、ちょっとプレゼントを。」


「彼氏さんにあげるんですかー?」

「いえ、そんなんじゃなくて。中年のおっさんに。」

「えーじゃーこれなんかどーですかー?」

「ネクタイですか!店長いつも派手なネクタイ着けてるし良いんじゃないですか!?」


「うん。これにする。」

「ありがとうございますープレゼント用に包んでおきますー!」


「大沢。なんかあの店員イラッとするな。」

「あ、あぁ…ちょっと分かります。」


「またのお越しをお待ちしてまーす」


「ありがとう。大沢。」

心なしか凄く嬉しそうだ

「ちょっと飲み行くか!今日、初給料だろ。祝いだ私が奢ってやる。」

「いやいや、悪いですよ!未成年ですし!」


「飲ませるわけ無いだろ。好きな物でも食べろ。」

「は、はい…。」


無理矢理連れて行かれる事に。

居酒屋なんて初めてだった。


「お疲れ。」

「お疲れ様です。」

とりあえず生ビールと最初の一杯くらい付き合えとノンアルコールのカクテルを頼んでくれた。

グラスを交わし一口飲む。

「あ、おいしい」

「ノンアルのカクテルなんてただのジュースだからな。」

そう言ってビールをグイッと飲み干した

「すんませーん。もう一杯!」

はいよー!

なんか大人だなぁー


「橋本さんよくこういう所来るんですか?」

「あぁ〜まぁな。大学って飲み会結構多いから。私は極力行きたくないんだけど、付き合いでね。」

橋本さんは沢山注文した。

そして、めちゃくちゃ飲んでいる


「大沢ぁ。お前は良く頑張ってるよ〜いつもキツく当たってごめんねぇ」

「橋本さん…酔ってますよね!?」

「酔ってねぇし…。お前太ってるけど男らしいときは男らしいと思うよ〜。この前の体育祭とかぁ」

「お冷貰いましょうか?なんか気持ち悪いです!」

「先輩に向かってキモいとはなんだ。」

僕はお冷を渡した

いらねーそんなもん飲めるかと突き返された。


「明日、店長に渡すんですか?ネクタイ。」

「うん……どうしようかな…恥ずかしい…。」

「えぇ?なんですかそれ?橋本さん飲み過ぎですよ!とりあえず出ましょう!」


橋本さんはお会計の時だけはシャキッとしカッコよくスマートにお会計を済ませた。

店から出るとペタンと座り込む。先輩としてのプライドは守りたかったのだろう。


「橋本さん!大丈夫ですか?家どこですか?送りますよ!」

「あっち。おんぶして…」

「もー」

僕は橋本さんをおんぶして歩き始めた。

「大沢、ありがとうね」

「別に良いですよ。今日はご馳走様でした。」

「うん…また付き合ってね」

「はいはい、いつでも。」


歩いていると、ベンチがあった。

「大沢、ちょっと座らせて」

気持ち悪いと言うので水を買ってきてあげた

ごくっごくっ


「はぁ〜…大沢ぁ〜ハセちゃんどう思う…?」

「どう思うって優しいし気が効いてすごいイイおじさんと思いますね?」

「そーなんだよ…ハセちゃんすっごく優しいんだ…」

「はい」

「私ここのバイト入るまで、すぐクビになったりバイトも採用されなかったんだ…目つきもあんま良くないし人と接するのが苦手で、変な態度だったんだろうな。特に男が苦手で…。」


「僕や店長は大丈夫そうですよね?」

「うん、でも最初は緊張してたんだぞ!」

「男として見られてない…?」


「でもさ…ハセちゃんは私の事すぐ採用してくれて、君モデルみたいでカッコいいね!正直で素直な子だ!って…あれ、めちゃくちゃ嬉しくて…めちゃくちゃ救われた。普段のハセちゃんは何考えてるかわからないけど」

「へぇ〜」

「私、ハセちゃん好きなんだわ…なんか一緒に居られるだけで安心する。バイトの無い日はいつも考えてしまう…少しの事で喜んでしまう。近くに居ると動悸が激しくなる」


店長の話をする橋本さんは女の子そのものだった


「え!?!?でも、店長既婚者ですよね!……あ、すみません。」


「そのくらい分かってるよ…。でも、気持ちは抑えられないの…駄目な事は分かってるの。あんなおっさんに…」


「そうですか…」

「大沢、お前は茜と付き合えよ。好きなんだろろ?」

「え、え?好きとかそんなんじゃ…」


「ふふふ…お前はかわいい奴だ!」

そう言って頭をガシガシされた


「自分に正直になってみろ!私みたいに報われないような恋じゃないんだ。お前には可能性がある。

身体にコンプレックスを持ってるんだろ?でもコンプレックスなんてみーんな持ってるもんだよ。私だってある」

「一歩踏み出すのは怖い事だけれど、その勇気を出す事に意味があると思う。そして何も始まらない。…んまぁお前の本心がどうとか私には分からないがもっと自分に自信持ちな?私はお前を応援するよ。」

「それに茜は…私に……やめとくわ。」

「え、なんですか!?気になりますよー!」

「いずれな?あはは…気持ち悪い…。」

「ちょっと橋本さん!」


橋本さんはその場で吐いた。

さすがにもうタクシーを呼んで帰らせた。


「橋本さんの秘密を知ってしまったな…。

大分遅くなってしまったなぁ茜さんに連絡出来なかったな…」

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