万引き?
茜さんとの練習で筋肉痛が残る中今日はバイトへ出た。
「大沢きゅん、なんか疲れてる??」
「いえ、ちょっと明後日体育祭があってその練習で筋肉痛で」
「そんな図体して貧弱だな。」
「えー体育祭?良いなー青春だなぁ。もう20年以上も前も前の話だよーあはは歳は取りたくないなー!なんの練習してるの?」
「二人三脚です。同級生の女子が手伝ってくれて」
「なになに!もしかして彼女??」
「い、いや、そんなんじゃなくて!」
「良いな良いな!絶対1番楽しい頃じゃん!その子大沢きゅんに気があるんじゃないの?このこのぉ!マイちゃんもそう思うでしょ?」
「いや、き気があるとか…」
「知らん。お前ら仕事しろ。」
「すみません!」
「私、外の掃除してくるからレジよろしく。」
「わかりました!」
僕はアルバイトにも少し慣れ怒られる回数も減ってきた。
バイト仲間達の輪にも少しずつ入れるようになってきた
みんな良い人達だからだろう。橋本さんは相変わらず近寄り難いのだが。それでも最初よりは打ち解けてきたと僕は思う。
「ハセちゃん。怪しい奴捕まえた。」
「え!?なになに万引き??」
「掃除に出たらコソコソしてて声掛けたら逃げだすから捕まえた。」
「ごめんなさい〜」
「あ、茜さん!?」
「琢己くーん…」
マスクをした茜さんだった。
「なんだ。知り合いか。」
「え、なに?友達?別に怪しくないの!?よく分かんないからちょっと話聞こうか?」
休憩室で事情を聞き始めた。
「茜さんどうしたの?」
「あのね、美鈴さんにここのコンビニで琢己君バイトしてるって聞いて…気になって様子見に来てみたの。
そしたら、声掛けられてビックリして逃げちゃった…」
「それでマイちゃんが捕まえたんだね!」
「こいつ、相当怪しかったぞ。それなら入って来れば良いのに。」
「ごめんなさい…入るのは恥ずかしくって…。」
「まぁ何もないなら良いよ良いよ!大沢君もこんな可愛い子を…隅に置けないねぇ!」
「確かに可愛いな。体育祭の練習ってこの子か?」
「あ、はいそうです。」
「へぇー。」
「大沢くんもう時間だし、彼女送ってあげなよ!良いなぁ青春だねぇ」
「わかりました。先上がらせてもらいます。」
「ご迷惑をおかけしました」
茜さんは深々と頭を下げた。
「気をつけてねぇ」
「気をつけろよ。大沢にもな。」
「ちょっと橋本さん!?」
そして店を後にした。
「琢己君ごめんなさい。」
「大丈夫だよ!ビックリしたけど」
「美鈴さんがバイトの日は顔がゾンビみたいになって帰ってくるって言うからどんな感じかなって心配で様子見てすぐ帰るつもりだったのに…。」
「みーちゃんの奴。でも最近は僕も慣れて来てあまり疲れなくなってきたよ!心配してくれてありがとう!」
「うん、ごめんね…。」
「みんな良い人達で助かった!大ごとになったらそれこそ大変だったから」
「みんな優しい人達だね!あの女の人怖かったけどカッコ良い人だった。店長さんは小動物みたいでなんかかわいかったし!」
「橋本さんは謎が多い大学生で店長はすごく変な人!」
「なにそれ!」
茜さんに笑顔が戻った。
「明日は最後の練習になるけど付き合ってくれてありがとう茜さん。少し不安な気持ちが薄れたよ!」
「私もありがとう。なんかお陰で足速くなった気がするし!じゃあラスト1日ビシバシ行くからね!」
「ちょっと筋肉痛が…」
「私もー…」
2人は笑って帰宅した。