アルバイト
あれから数日が経ち夏休みももう終わりを迎えようとしていた。
星の写真を現像した。
「おぉ良く撮れてる。茜さんにまた渡そう。」
「やっぱり自分のカメラが欲しいなぁ」
僕はコンビニへ求人誌を買いに出かけた。
「結構いっぱいあるなぁ〜。ん?」
店内に貼ってあった貼り紙を見つけた
アルバイト急募
フリーターさん学生さん大歓迎
高校生も可
「家からそこまで遠くないし学校帰りにも行けそうだな〜良いかも」
僕はメモを取って帰宅した。
母さんにバイトをしても良いか確認すると、すぐに了承してくれた。
むしろ、大賛成だった。社会勉強にもなるしお金を稼ぐ大変さを知りなさいと。
僕はすぐに電話を掛けてみた
プルルルル
『お電話ありがとうございます。○○マートです。』
「すみません、店内の求人の貼り紙を見たのですが…」
『求人のご連絡ですね?面接をさせて頂きますのでご都合の宜しい日はありますか?』
「いつでも大丈夫です。」
『では…明日の14時頃にお店にお越し下さい。ちなみに履歴書は持って来なくも大丈夫ですので!』
「分かりました。よろしくお願いします。」
ふーっ緊張したー
面接かぁ〜苦手なんだよなぁ。高校の受験以来だな〜
翌日、僕は10分程早く到着した
「フー!!よしっ。」
いらっしゃいませー
「あの、昨日求人の電話させてもらった者です。」
「あーはいはい。こっち入ってー。」
奥の休憩室に入れられた
「大沢琢己と申します失礼します!」
「君、おっきいねぇ!何かしてたの?柔道とか相撲とか」
「いえ、運動などは特にしていません!」
「勿体ない!良い身体してるのに。まぁまぁ座って座って!」
「はい!失礼します!」
「私はここのオーナー兼店長をしている長谷川と申します。ハセちゃんって呼んでね!」
長谷川店長は小柄でものすごく優しそうなおじさんだった。でも少し変わってるっぽい。
「採用されたらいつから働けそうかな?」
「いつでも大丈夫です。」
「高校生だよね?高校生は21時までしか働けないから、明日の18時からお願いするよ!」
「え?」
「うん、君採用だよ!真面目そうだし力仕事も出来そうだしマスコットみたいだし!」
「良いんですか…?あ、ありがとうございます!」
「いやぁー助かったよー。急にバイト2人も辞めちゃってさ!今は人数少ないから大変だと思うけど期待してるから大沢君!よろしくね!」
ギュっと握手を交わした。
「よろしくお願いします!」
思っていた面接とは違い拍子抜けだった
良い人そうだし頑張ろう。
「母さん明日からバイト出る事になったから」
「もう決まったの?早いわね!頑張りなさいよ」
そして初出勤の日
なんかドキドキするなー
「こ、こんにちはー」
「やぁ大沢君待ってたよ!」
制服を渡され着替えた。
「では、研修中の間この子がサポートしてくれるから!頼むよマイちゃん!」
「橋本舞です。よろしく。」
「大沢琢己です!よろしくお願いします!」
「マイちゃんは大学生でうちのバイトリーダーだからしっかり教えて貰ってね!」
「はい!」
橋本さんは整った顔立ちで大人っぽく少しキツそうな印象だった。
「では、大沢さん。とりあえずお客さんが入って来たらいらっしゃいませ。店から出るときはありがとうございました。」
「はい。」
ちょうど客が入ってきた。
「いらっしゃいませー!」
「いらっ…しゃいませ…」
恥ずかしいー!
「声出てないよ。元気もないし。まぁいいや、いずれ慣れるから。」
「す、すみません。」
それから橋本さんはテキパキと作業内容を教えてくれた
「だから、違うって。レジはここをこうするの。」
何度も怒られた。
「マイちゃんもっと優しく教えてあげて?ごめんね大沢くん。マイちゃん新人さんに厳しいから。でも、少し男性が苦手で凄く後輩想いの優しい子だよ!」
「ハセちゃんそんな事言わなくて良いから」
「あたたた…」
店長は少し足を踏まれていた
「じゃあそろそろ時間でしょ上がって良いよ。今日教えた事復習しといて。おつかれ。」
「はい…おつかれ様でした。」
疲れた…初日でこんなんこれからどうなるんだ…
「行きたくないな…」
もうすでに弱気になっていた。