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琢己と茜

とんでもない祭りになってしまった…

僕は軽い脱水症状だったみたいですぐ良くなった。

とにかく皆んな無事で良かった。

一夜明け田中は2.3日入院することになったと連絡があった


3人でお見舞いに行く事にした

「田中くん大丈夫ですかね?」

「結構ボコボコにされてたから…」


田中の居る病室からなにか騒がしい

「田中ー?」


「……で、あの時は10人くらいの不良どもに囲まれて拙者もさすがにマズイと…」


看護師さんが引きつった顔で何やら聞いている


「パンチをしゅしゅっと華麗に避けた所にカウンターで拙者の右ストレートが炸裂したでござるよ」


「あら、お友達?ごゆっくりー!」

助かったような顔をし出て行った

田中の武勇伝を延々と聞かされていたらしい


「あんた、話盛りすぎよ!」

「田中君大丈夫ですか?」

「田中怪我は?」


「おー女神達!!この英雄の見舞いに参ったか!苦しゅうない苦しゅうない」


「結構平気そうだな!良かったよ!」

「なかなか手強い相手だったが我の強さにビビって逃げよったわ!」


「田中くん本当ありがとうございます。」

「いやいや、茜たんを救ったのはブタミ氏でござるよ」

僕と北条さんは目が合うがすぐお互いに目を逸らした

「いやぁでも美鈴先輩に抱きしめられた時の胸の温もり…忘れられないござる!」

みーちゃんは少し赤くなり

「うるさい、変態!」

田中の腹を叩く

「ぐぉー」

「あ、ごめん!一応ケガ人だった」


いつもの漫才を見ているようで場の空気が和んだ

「また4人で何かしたいでござるなぁ」

「そうだね!」


「あの、田中が退院して落ち着いたら皆で山にキャンプしに行かない?この間北条さんと話していて、星空を見に」


「あ、でも大沢くんカメラ…」

そう、あの時僕は大事なカメラを壊していた

「父さんに借りて来るから大丈夫です!」


「私も高校生活最後の夏休みだしみんなで行こう!」

「行くでござるー!」


祭り以来4人の仲は深まってきたと思えた

そして、田中は元気に退院した。


計画したキャンプの前日僕はみーちゃんと買い出しに出かけた


「明日雲ひとつない晴れなんだって!」


「じゃあ綺麗に星見えるといいなぁ」


「なんかター君楽しそう!」


「久しぶりに行くからちょっと楽しみだよ!」


「カメラ壊れちゃって残念だね…」


「まぁ父さんに借りるし、今度バイトしようかなって」

「え!?ター君がバイト!?」

「うん、自分で頑張って手に入れた物って長持ちするって言うし」

「偉い!!ター君なんか最近変わって来たよね!」

「え、そーかな?」

僕達は買物を済ませて、明日の為に早めの解散をした。


夕方頃に駅まで全員集合した。


「みんな集合したし行こうか」

全員アウトドアな格好で動きやすそうだ。

僕が知っているスポットまでは少し遠い場所にある。


「ふぅーやっと着いたねぇ!」

「結構遠かったですね〜」

「疲れたでやんす。」

「星がよく見える時間までまだ時間あるから色々準備しておこう!」


テントを張ったり、簡単なご飯を食べたりした。

僕はカメラを設置したりしていた。


「なんかこーゆうのワクワクするね!」

「分かります!小学生の頃こーいうのした事あります。みんなでカレー作ったりとか」


「拙者は眠くなって来たでござるよ」


「確かに星がよく見えるのは夜中だから少し仮眠をとっておこうか?」


女子と男子のテントを分けて仮眠を取ることに


そして夜も更けた頃僕は目が覚めた。

まだ皆眠っている

「田中起きて!」

田中は起きる気配が無い

「これはダメだな…」


みーちゃんと北条さんを起こしに行った

「みーちゃん!北条さん!起きて!」


「ん〜。ター君」

「結構寝ちゃってました」


「星!スゴイよ!」


2人がテントから出て来た

「うわぁー…」

空一面に星が広がっていた。

それはもう手を伸ばせば掴めるんじゃないかっていうくらい。


「綺麗ー。」

「すごーい。」


僕はカメラをセットした。

「大沢くん、撮れそう?」

「うん!今日はきっと良いの撮れるよ!」

北条さんはニコっと笑って空を見上げた。


みーちゃんはずっと空を見上げでいた。

「ちょっと冷えるね。」


「夏でも山の夜は結構冷えるからね。風邪ひかないでね」


僕達はしばらく星を見上げていた。


ハッと我にかえった

みーちゃんは眠ってしまったらしい。

風邪を引くと行けないので抱えてテントまで連れて行った。

「ター君ありがとう。ごめんねもう限界だ。」

「いいよ。ゆっくり寝て!」

みーちゃんは眠りについた。


「みんな寝ちゃったね」

「うん、結構ここに来るまでハードだったから。北条さんは眠くない?」

「私は逆に目が冴えちゃった。」


僕はレジャーシートを敷き北条さんにタオルケットを渡した。

「ありがとー!ねぇ寝転がって見よ?」

「え、う、うん」

2人は仰向けになって星空を眺めた。

僕はドキドキしてどうして良いか分からなかった。

「あっ!流れ星!」

「え、見えなかった」

僕はそれどころじゃない。

「次流れたら願い事しよー!」

「でもさ流れ終わるまでに3回願い事を言うって絶対無理な話だよね。」


「もー。そういうのは気持ちが大切なんだよ!3回言うまでに流れるのが終わったとしてもその願いがお星様に伝われば良いんだから。」


「そっか…」

「ねぇ、大沢君。私も美鈴さんみたいに下の名前で呼んでも良いかな?私の事も茜で良いから。」


「え、それは別に良いけど…なんか抵抗あるなぁ」

「琢己君。」

こっちを向いて名前を呼ばれた。

暗闇にも目が慣れ淡い月明かりで見えたその顔はとても綺麗だった。

「呼んで?」


僕は顔を背けた

「あ、茜……さん。」

「ふふ…かわいい。」

顔が真っ赤になったのが分かった。

僕は話題を変えた、星に指を指し

「あ、あれがデネブ、その右の方にあるのがベガ

下の方にあるのがアルタイル。それを線で繋ぐと、良く出て来る夏の大三角形。」


「うん…。」


「七夕の彦星と織姫って言うのは、アルタイルとベガなんだ。」


「うん…。」


「あの、少し赤っぽい星はさそり座の心臓って言われてるアンタレス。…ごめん、つまらないよねこんな話。」


「全然!すっごく楽しい。プラネタリウムみたいだよ!星に詳しいなんて素敵な事だよ!」


「もし私に子供が居たとしたら琢己君のようなパパだったら良いな…」


「え…?」

「な、なんでもない!そろそろ寝よっか!」

「う、うん。そーだね!」


片付けをして自分のテントへ戻った。

「じゃあ…おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」

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