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3、君は何者?

自分がわからない?


病院では精密検査が行われたが異常は見つからなかった。

脳も正常らしい。


検査を終え結果を聞いた私は警察官に付き添われて警察で事情聴取されることになった。

ただ、ここは所轄の警察署じゃないよね。

警視庁の本庁だよね。


事情聴取は事故の事と私の身元に関してだね。

警察官は現場にいた制服のお巡りさんが二人と私服の刑事さんだ。

隣の部屋には私の様子を見ている人たちの気配がある。

こんなに簡単に気配を察知できるんだ!


事故の処理について問題が生じていた。

運転手が急に心肺停止状態になって大型トラックが暴走した。

そこまでは現場検証で分かっている。

問題はその後だ。


私がどのようトラックを止めたのか?

実は事故の瞬間の映像が全くなかったという。

街頭カメラも暴走するトラックを撮影していた人の動画も静止画も。

事故の瞬間だけは抜け落ちていた。

現在、事故の瞬間を見た人たちの証言だけが証拠になっている。

見ていた人には近くにいたお巡りさんも含まれる。

証言は全て『猛スピードのトラックをあの男性が止めた』とのことだ。

しかし、私に接触したトラックのバンパーは全く損傷していなかった。

鑑識が首をひねっている。

私が力持ちでトラックを止めたらバンパーは破損するはずだ。

車体の一部も壊れるはずだ。


証言はまだあった。

トラックは私の触れた瞬間、それまでそこに停止していたように止まったということだ。

私から話を訊いている二人のお巡りさんも見ていたという。


「君はどうやってトラックを止めたんだ。トラックには止まった時の衝撃を受けた痕跡が全くなかった」

「そう言われましても二人の小学生を守ろうと必死だったのでトラックの方を見ていませんでした」

「ああ、あの二人は短大生だから。ぜーったい小学生なんて本人の前で言っちゃだめだよ。暴れるから」

「え、えー」

「ははははは。昨日大変だったよ。宥めるのに」

「言っちゃったんですか?」

「うん、すごく怒られた」

「そうですか」

「で、本題だけどネットでは怪奇現象とか奇跡とか魔法とか、大騒ぎになっているんだよ。多くの目撃情報があったからね。それを起こしたのが君だとね。で何か思い出した?君の名前とか」

「夢の中の話ですが、タカシと呼ばれていたようです」

「え、漢字は?苗字は?」

「わかりません」

「だめかー、昨日見せてもらった持ち物について手分けして調べたりしたけど全く君の身元は分からなかった。まるで意図的に君の情報が消されているようだ。街頭カメラでも君があそこにたどり着くまでが追いきれていない」

「そうですか」

「君が言う通り、事故の前にあそこで君が所持品を一生懸命調べているのはカメラに映っていたけどね。君の所持品は服、財布、小銭入れ、ICカードが交通系5枚と電子マネー2枚。すべて無記名式。現金は12万8千580円。あとはハンカチ」

「はい」

「ICカードの残高を調べておいてあげたよ。どれも2万円近く入っている。7枚の合計で13万6100円だったよ」

「ありがとうございます」

「携帯とかスマホとか持っていれば何か判ったのにね」

「そうですね。携帯とスマホがあればよかったですよね」


そう言いながら手をポケットに入れると手の中に携帯電話とスマートフォンが現れた。


「あの、ありました」

「いや、嘘だろう。昨日、君の許可を取ってその服はよく調べたぞ。見ていただろ。手品か?」

「そうですよね。調べてもらいましたよね。身体検査ものしましたよね。私は手品なんてできませんよ」

「うーん、不思議だけどこれで何とかなるかな」


出てきた携帯電話を警察の人と調べた。

誰も見たことのない機種だった。

表示される文字は日本のものと同じだよね。

私服の刑事さんが外国の機種も調べてくれたが該当するものはなかった。

どこの電話会社の電波を利用しているかもわからない。

電話帳は空だった。

電波の受信状況の表示はない。

残電池の表示もない。

使えないのかな?

所有者情報も確認できない。

試しに現場にもいて昨日から私の面倒を見てくれてるお巡りさんの携帯に電話をかけてみた。

お巡りさんの携帯電話の着信音が鳴った。

通じたっていう事か。

だけど表示された私の携帯の番号は国際通話の番号だった。

そして、その表示された私の携帯電話の番号は存在しない国番号なのがわかった。


「そんな馬鹿な」


騒ぎになった。

当たり前だ。

所管の省庁にも問い合わせて調べる中でこの国番号は何回使おうとしても使えなかった不思議な番号だとわかった。

お巡りさんからの電話も着信できた。

警察の固定電話からも着信できた。

でも国際通話なのに私からは日本国内でかけるようにかけて通じた。

不思議だ。

怪奇現象か。


スマホの方はデータ通信専用だった。

情報の検索はしっかりできた。

電波の受信状況の表示はない。

残電池の表示もない。

所有者情報も確認できない。

携帯と同じだ。


携帯もスマホも充電方法が不明だった。

充電の差込口や端子がなかったのだ。

どうするんだこれ?


結局、携帯とスマホから私の身元は分からなかった。


「しかし、どこからそれらは出てきたんだろうね。念じたら出てきたりして」

「そうですね。タブレットとノートパソコン出て来い!」


ガタガタン、ゴトゴト、ガシャーン。

この部屋と隣から色々な音が聞こえてきた。

私の手にはタブレットとノートパソコンが出現していた。

みんな唖然としている。

私も呆然。

私もこの部屋にいる警察官も固まっている。

隣の部屋でも騒ぎが起きている。

隣の部屋にいるうちの二人がこの部屋に向かって走ってきているよ。

さらにその後ろからも二人が追いかける。

後ろの二人は前の二人を止めようとしているようだ。

見えないのになんでわかるのだろう?

気配が色々とわかるよ。

どんどん鮮明になってくる。

それから個人情報も。



前の二人は政府の情報機関関係者で陰陽師ようだ。

後ろの二人は公安関係者だね。

氏名もわかる。

公安関係者は偽名もわかった。

身分証明書を二つ持っているのか?

どうも身分を証明するものを持っているとそこに記載されているその人の氏名がわかるようだ。

これは人物鑑定?解析?


後ろから来た公安関係者も前の二人を止めるのは諦めたようだ。

陰陽師のおじさんが部屋にはいってきた。


「君は未来から来た人型ロボットか!」

「そんなはずないでしょ!」

「つい言ってみたかった」


他の人たちが頭を抱えていますよ。

後で聞いたがこの人は時々こういうことを言うらしい。


「改めて、君は陰陽師か魔術師か忍者か?」

「最後のはすごーくわからないのですが?」

「兎に角、収納する魔法か異能を持っているのは事実のようだ。滅多にいない伝説になっている異能力だよ」

「そうなんですか。で、魔法とか異能とかあるんですか?」

「あるぞ。一般には秘密だけど。陰陽師、山伏、魔法使い、超能力者と国によって違うが各国に異能者がいる。国際的にも管理されている」

「知らなかった」

「そんなこと知られたら困るよ。ところで何が収納されているかわからないのか」

「そんなの無理ですよ」

「いや、昔の陰陽師にも収納の能力を持っていたものがいる。文献で呼んだことがある。収納してある物をのリストを見たいと念じてごらん」

「はい・・・・、うわー。なにこれ。すごく沢山入っていますよ」


公安関係者が前に出てきた。


「タカシ君、私は公安の関係者だ。正直に言おう。君のことは国外の諜報関係者じゃないかと疑っている。君の持っている物をすべて出してくれるかな」

「えーと、どうすれば」

「すべて出すと念じれば出てくるよ」

「この部屋に入りますかね?」

「え、そんなにか・・・・・移動しようか」


大会議室に連れてこられた。

かなり大きな部屋だ。

ちょっとした小ホールサイズはあるだろう。

これなら大丈夫だろう。

関係者以外は立ち入り禁止になっている。

厳重に警備されているね。

床にはシートは敷かれた。

私からお願いしたよ。


「では全部一度に出しますよ」


出てきた、出てきた。

大きい物から小物まで。

天井に何とか触れなかった。


「なんじゃこりゅあ!」


皆さん、唖然、呆然だよ。


「これで何をするつもりだ!」

「知りません」


変ったデザインの小型車、変ったデザインの小型ヘリ?プロペラがないよ、変わったデザインの小型潜水艇?、変わったデザインの小型ボート?。

どれも乗れるのは4人までだね。

トレーラーハウスも大中小とあった。

テント数種やキャンプ道具各種、移動式トイレ?

人体模型?数体。

着替え各種、ステッキと警棒?魔法の杖?がそれぞれ数本。

鞄はキャリーバックとボストンバックと各種リックサックとショルダーバックなど。

カメラバックもある。

デジタル一眼レフと交換レンズが入っている。

カメラ三脚もある。

ビデオカメラとコンパクトカメラも2台ずつ。

天体望遠鏡と顕微鏡が3種ずつ。

様々な食料と食材。

地球にはない金貨や銀貨や銅貨。

各種金属のインゴット。

各種宝石。

各種アクセサリー。

多くの本。

よく分からない機器が数種類。

その中には蓋が透明な棺桶のような物もある。

保育器を大きくしたような感じだ。

各種の薬。

いくつかの開かない小箱。

現金は日本円、米ドル、イギリスポンド、ユーロ、何故かフランスフランとドイツマルクの紙幣も。

世界各国の通貨が紙幣であった。

合計すると日本円で億単位か。

何でこんなに物を持っているんだ?


警察の人がリストを作り、写真を撮っていた。

終わるとよくわからない機器も含めてすべてを収納に戻すことになった。

わからない物を没収しても管理ができないのだという。

私が収納に保管した方が安全らしい。

さらにこれらは私以外は扱えないようだ。

どういうものなのかは調べて後で報告することになった。


「無報酬で働くのですか?」

「人命救助と警察への協力ということでお金が出るようにするよ。結構お金を持っているのに」

「ありがとうございます」


現金等も没収する理由がないからと返却された。



警察や政府関係のお偉いさんと面談して解放された。

今回のことに関しては全てを秘密にすることになった。

さて、今日はどこに泊まる?


ホテルや旅館には住所不定でも泊まれるの?

公園にテントを張るか?

ボートに乗って海の上?

車に乗って駐車場。

あ、免許がないよ。


今晩の寝床を心配をしていたら助けが入った。

陰陽師の人が関係者の本部の建物に連れて行ってくれることになった。

宿泊施設や寮もあるらしい。

そこは防衛機能も堅固らしい。

何で防衛が必要なの?

私が要注意人物?


滞在させてもらう代わりに陰陽師の人たちの組織に協力することになった。

幹部の人とともこれからの事と協力の内容について話をすることになった。

よく考えるとここに宿泊させるのは・・・・私の監視のようだ。


私みたいなよく分からない人間を放置できないよね。


私は何者だろう?


お読みいただきありがとうございました。

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