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17、王子様?

ヒロインが増えていく。


新年会から2日、所長に呼び出された。

所長室ではなく20階のレストランの個室だった。

ここの個室は情報が漏れないように様々な処置が施されている。

主に結界魔法の魔道具によるものだが。


個室にいたのは所長とミユキさんと3人のお客だった。


「あれ?」


お客の一人を見てつい声が出てしまった。


「先日はありがとうございました」


そこに座っているのは下田で助けた男の子のふりをしている某国の王女さんだった。


「タカシさんも座ってください。君は下田でお忍び中の彼を助けたんだってね」

「あ、はい」

「その時は知らなかっと思うが彼はヨーロッパの小国の王子様なんだよ」

「それはそれは。先日は失礼しました」


所長もミユキさんもお付きの人も同行の外務省職員もみんな王子様だと思っているようだ。

この『王子様』も異能持ちだ。

それも5つも持っている。

そのうち1つが隠蔽。

異能として隠蔽を持っていることも自分の性別もわからないようにしているようだ。

隠蔽というより改竄かな。

しかし、私には通じないようだ。

次に読心ともひとつ厄介な異能だな。

これらも隠蔽されているね。

攻撃魔法と浄化が後の二つだ。

私が鑑定したことには気がついていないようだ。

私の心を読もうとして失敗して焦っているな。


「お礼を言うために来られたわけではありませんよね」

「はい、そのことについては私よりお話しします」


お付きの男性が話し出した。

先日の下田の事件の後、宿に帰ると荷物の中に殺人予告と思わせる脅迫文が入っていたという。

それは東京で3日後に開かれる会議に出ないようにという内容だった。

出れば命がないと。

今回『王子様』は日本での休暇を楽しんだ後、3日後の会議に出る予定だった。

『王子様』として必ずこの会議に出なくてはいけないようだ。


「恥ずかしい話、私の国は王位継承で揉めております。それも含めての今回の脅迫だと思います」

「そうですか」

「そこでタカシさんに護衛をお願いしたいのです」

「護衛ですか?」

「はい、本国に着くまでの間の護衛をお願いしたい思います」

「脅迫状を受けとってから機関があったということはすでに何かあったのですね」

「はい。下田で、移動中、東京のホテルで王子を狙った様々な事件が起きています」

「わかりました。引き受けましょう」

「お願いします」

「それではホテルに移動ですね」

「いや、彼にはここに滞在していただこうと思う。この数日かなり危なかった事もある。このままだと一般人が巻き込まれる可能性がある」

「わかりました。滞在してもらう部屋は」

「タカシ君、君の部屋でいいよね。客室が空いているよね」

「は、はい。いいんですか?」

「はい。お願いします」


女の子と一緒ってまずいんじゃないかな?

彼女が女の子だということはみんな知らないのか。


「ではそういう事でよろしくな。チームには君の単独任務と君の部屋へは近づかないようにということを伝えたよ」

「わかりました」



     *       *



「改めまして。タカシです。よろしくお願いします」

「こちらこそ、カルファ公国王子のフィラです。こちらこそよろしくお願いします。詳しいことを貴方だけには話したいのですが、よろしいでしょうが」

「わかりました。ここに結界を張りましょう」


カルファ公国はヨーロッパにあるミニ国家で外交や防衛は複数の近隣国が分担して担ってくれている。

形の上では自治州的な扱いだが国家と呼ばれているには理由がある。

公王一族は異能力者の家系であるという。

異能力者は魔女狩りの対象にもなっていたがそのような事を防ぐためにヨーロッパの異能者が団結して力をつけ、公国を作った。

現在も州知事ではなく公王が治めるという形になっている。


フィラはその国の第一王子となっている。

実際は第一王女だ。

今のところ兄弟はいない。

女性であっても公王にはなれる。

ただし、即位するまでは男性を装って王子として過ごさなくてはならない。

即位後、結婚して子供ができたら結婚相手に王位を譲ることになっている。


そして結婚相手は、


「自分より多くの異能を持っていること。同じ数でも可能ですが。今この世の中で私より多くの異能を持っている男性はいませんでした。タカシさんが現れるまでは」

「そうですね。でもその結婚相手の条件はどのような意味があるのかな?異能は遺伝するということ?」

「はい、家系ということは言われていますから。で、タカシさんよろしくお願いします」

「お、お願いって」

「もちろん私の夫になることです」

「でも本来、君は王子で王女ではないということだよね。私と結婚となったら騒ぎになるよ」

「はい、ですから即位までは秘密の婚約で。それから私たちの国では私が女であるということは公然の秘密です。国外では知られていませんが。公式に知っているのは両親と専属メイドと執事長とフローラ女史だけです」

「フローラ女史?」

「はい、私の家庭教師で異能の師です。大預言者で今までは世界一の特殊異能者です。日本語を学んだのも彼女の指導によるものです。元々、会議で日本には来る予定でしたが、早めに来て下田に行ったのも彼女の未来予知による助言があったからです」

「ではあそこで会ったのは偶然ではなかったと」

「はい、そう思います。私たちは赤い糸で結ばれたいるということです」

「しかし、私も記憶喪失で恋人とか妻がいるかもしれないよ」

「大丈夫です。カルファ公国の王族になれば一夫多妻は当たり前です」

「え、そんなのでいいの?」

「大丈夫です。すでにそうしないと収拾がつかないと思いますよ」

「どういうこと?」

「わからないのですか?周囲の女性陣の存在を」

「はははは、肉食系が多いよね。恋人や妻がいるかもしれない男相手に」

「鈍感ですよね。異能力者は惹かれていくんです。もう彼女たちとはパスができているんじゃないのでしょうか。そうなると離れるのは困難です」

「パス?そうすると彼女らも新しい異能に目覚めるということかな?」

「食いつくのはそこですか」

「そうするとあの訓練は不味かったかな?」

「私も訓練方法を聞いていますが、強いパスを作ることに繋がったと思います」

「そ、そうなのか。少し色々考えさせてくれるかな?」

「どうぞ」


その後王位継承に伴ういざこざを教えたもらった。

王位を狙っているのは遠戚の男性らしい。

邪魔になる王族の暗殺を目論んでいるようだ。


「護衛は必要か」

「はい、そこでお互いをよく知り、愛を育みましょう」

「はははは」


その日の仕事は自室で行うことになる。

食事はフィラが作ってくれた。

王女様が料理?

美味しかったので何も言えない。

お風呂は一緒に入ると言ってきたが断固として断った。

下田で混浴したのを何で知っている?

何故私は駄目なのというので湯着がないからと答えて納得させた。


その夜は客室に寝てもらうはずだったが離れ離れは不味いということで同じ寝室に寝ることになった。

翌朝、私のベットの中にフィラがいた。

私は何もしていないからね。

彼女も何もしなかったと思いたい。。。。。


お読みいただきありがとうございました。

評価や感想をいただければ幸いです。

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