12、大晦日の深夜に扉が開く
寒くて頭が痛くて風邪でしょうか?
宿の主人と女将さんの挨拶を受けた後に案件の説明を聞いてからまだ時間があるのでそれまでは大晦日を楽しむことになった。
まずは温泉をなのだが。
問題は女性陣が一緒に入ろうって言ってきた事だ。
「温泉はやっぱり混浴よ!」
「それってまずいよ。折角、内湯が2つあるんだから」
「湯着があるから大丈夫だよ、ぐへへへへ・・・・」
「アカリさん、すごく怖いんですけど」
「あ、タオルを巻いて入ってもいいことにしてありますから」
「ユウさん、そういう問題なの?」
「もし別々に入るって言ったら皆で裸で侵入してタカシさんが覗きに来たっていう事にしちゃうよ」
「鍵を掛けますよ」
「あ、マスターキーはありますから」
「そんな、理不尽な!」
「男なら根性見せろ!ヘタレ」
「あれーーーーえーー」
結局、混浴することになりました。
色々と洗ってもらいました。
大事な所は自分で洗ったよ。
色々と柔らかい所が当たって、肉食女子にHPが削られていく!
* *
「うーん、美味しい」
「タカシさん、元気になってよかった」
はい、美味しい夕ご飯で元気になりました。
年越し蕎麦も美味しいね。
とろろ蕎麦だよ。
海に幸、山の幸がたっぷりと。
近海物のお造りと伊豆の山葵。
鹿肉と鴨肉のロースト。
牡丹鍋。
金目鯛の煮付け。
筑前煮のしいたけは地場産だね。
山菜ごはん。
伊勢海老のチーズ焼き。
サザエのつぼ焼き。
あわびのステーキ。
海藻サラダ。
てんぷら各種。
伊勢海老の味噌汁。
ニューサマーオレンジの寒天ゼリー。
ぐり茶のプリン。
流石にアルコールは無しだよ。
「タカシ君、食べ過ぎて動けなくならないようにね」
午後6時から8時半までゆくっりと夕食を楽しみました。
夜食も用意してもらって、案件処理の準備をしますか。
テレビ?
見ないよ。
そんな余裕はないから。
ところで扉が開くって。
どうやらこことは違う世界と繋がってそこから妖が出て来るらしい。
初めてこの現象が起きたのは8年前。
運よく本館に泊まっていた組織の異能者に結界を張れる者がおり、出現した扉を結界で囲み、事なきを得た。
扉は日の出の時間に消失した。
妖を見た貴賓室に泊まっていたお忍びの財界人一家の記憶は気絶した時に改竄したらしい。
それって事なきを得たと言えるのだろうか?
色々と調べたが扉が出現する理由がわからなかった。
それから1年は何事もなかったが大晦日の夜に再び起きると推測した組織は貴賓室で警戒をした。
扉は前の年と同じ位置に同じように現れた。
そして扉の出現は日本標準時の0時でなく、ここの場所の0時だった。
経度138.9度のこの場所が地球の自転上で新年になるのは日本標準時の約16分前、23時44分だ。
でもどうしてこの日なのはわからなかった。
その年も結界で扉を覆い、妖が出てくるのを防いだ。
そして日の出とともに扉は消失した。
次の年は離れを結界で覆ったのだが建物内はひどく破壊された。
日の出に時間になると扉とともに妖は消失した。
扉が出現する位置に結界を事前に張ると結界の外側に扉が出現してしまった。
そのため毎年、扉の出現に合わせて結界を張っているのだそうだ。
今回の案件は妖の流出阻止と扉の封印。
「今までの結界を張った人たちでは扉を封印できなかったのですか?」
「ああ、解析結果からこの封印には浄化による対魔の封印が必要だ。それも結界と浄化の同時使用。結界の術者と浄化封印の術者で試みた時にはうまくいかなかった。的確な封印のためには鑑定解析と結界構築と浄化をできるタカシ君が最適だ。そのうえ、君の力は結界・浄化ともに強力だからな」
「そうですね。結界と浄化を使える優秀な助手も二人もいますしね。サユさんも私同様に鑑定解析も使えますしね」
「そういう事だよ」
そういう事で案件を処理することになった。
封印がうまくいっても来年も封印を確認するためにここに泊まることになりそうだ。
1年に1度の現象だからね。
魔道具にもなっている杖を収納から出した。
私の持っている杖は異能の効果を30%程度上げることができる。
秘書の5人にも防寒結界と対魔結界の魔道具とともに渡す。
5人には離れの外でミユキさんとともに警戒をしてもらう。
離れ全体の結界はミユキさんが魔道具を使って構築した。
厚生研修施設のからは6人がこの旅館の周囲の警戒のために配置されている。
厚生研修施設では6人が状況を確認しながらいつでも動けるように待機している。
離れの中には私とサユさん・ユミさん・カナさん・ハナさん・ユウさんがいる。
全員に対魔結界を付与した。
さあ、準備はできた。
あと15分で扉が出現するはずだ。
気を引き締めていこう。
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