表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

お、落ち着くのですわ。(わたくし)

例え、姉さんが恋愛界において強敵だとしても。例え、興味のない男性を好きにさせる確率が二十%ぐらいだとしても。

フローズン様の恋愛を叶えるため、私は頑張りますわ!

…そ、それにしても姉さんか…。ひ、ヒロインだし、性格も申し分無いし、か、可愛いからかなぁ…


「おい、カップを持つ手が震えてるぞ。大丈夫か?」


「え、えぇ…フロ、いえ、王子様こそ、机に突っ伏しているようですが、だ、大丈夫ですか?」


フローズン様はうぅう…と暗い呻き声をあげて、明らかに沈んでいる感じに見えた。

どうしたんだろう。具合でも悪いんだろうか?



…じゃなくて、今私は、姉さんをどうやって王子をくっ付けるか、作戦を考えなきゃですね!

もう余裕がなくて、私の心の中は素に戻っていますよ!やっぱり、姉さんには早めに連絡とらないとダメだよね…よし。


私は顔をあげ、王子と視線を合わせた。


「実は、私、アルレント伯爵令嬢と知りあいなんですの。ですから今、彼女と連絡を取り合い、彼女の予定を聞いてきますわ!」


これも、フローズン様と姉さんをくっつけるためだ。そして、幸せにするため。幸せは早いほうが良いに決まってる…頑張らなきゃ。

私は勢いよく立ちあがり、王子に、失礼いたします‼と言い、彼に背を向けて走りだそうとした。


「え!?ちょっと待て!()行くのか?!」


「えぇ、()行くのです!!」


そして今度こそ、私は猛ダッシュで姉のところへと向かった。


☆☆☆


むむ、姉さんは普段ここら辺に居るはずなんだけど…。


私は、とある花畑で、姉さんを探していた。


何故こんなときに連絡が付かないのか…まぁ、姉さんらしいけど。前世の時もそうだったな…。


そんなことを思いつつ、私は探し続ける。

えぇー、いつも「ここが攻略者とよく出会える穴場なんだから!」とかなんとか言って、一人だけ目立ってたはずなのに…


私がキョロキョロと辺りを見渡していると、後ろからトントン、と肩を叩かれた。


「うみょぁ!?」


へ、変な声が出てしまった。

慌てて振り向くと、そこには黒いフードを被った…ヒロインから見れば攻略者の一人であり、フローズン様の弟のフィアルト・リピルントが驚いた様子でたっていた。


「あぁ、すみません。もしかして驚かせてしまいましたか?」


すごい天使の笑みで話しかけられました。でもね、皆さん騙されてはいけませんよ!姉からの情報では、第四王子は腹黒い設定だって言ってましたから!だからフローズン様もかなって思ったけど違いましたよ!正反対でしたよ!!!

…でも見た目は良い人そうなんだけどな。フローズン様に似て…

私はいつもの状態に整えてから、話しました。


「まぁこれは…第四王子様でしたか。失礼致しましたわ。急に肩を叩かれたものですから。」


「いえ、丁度見たことがある方だなと思いまして。…その、フローズン兄様の婚約者様…ですよね?」


えぇ!?嘘、顔覚えられてた!社交界でなんか目が合うなーとは思ってたけど、私、目立たないように結構地味~にはじっこの方に居たんだけどな…

ドレスの色も、目立たないような色にしていたし…


私は張り付けた笑顔を壊さない様に(若干ひきつっている気がするけど)一応、王子だし、名乗っておかなければ失礼かなと思い、着ているドレスの端っこをつまみ、礼をすることにした。


「えぇ。仰せの通りです。あぁ、申し遅れましたわ。(わたくし)、メアリージェ・ソプラノリアと申します。以後、お見知りおきを。…それで、第四王子様は私に何のご用件で?」


「ん~、実は、探しているピンクの髪の人がいましてね。いつもはこの辺りにいる筈なのですが…」


彼はそう言いながら、辺りを見渡した。ん?もしかして、姉さんを探してる?


「…あの、もしかして、アルレント伯爵令嬢を探していらっしゃいますの?」


「えぇ、そうですけど…もしかして、貴方もですか?」


!偶然だ…まさか同じ人…いや、姉さんを探しているなんて。しかもまさかのあの人だからなぁ、今、一体何をしているのやら…


うむむ…と、考えていると、見覚えのある鮮やかなピンク色の髪の毛がサラッと、曲がり角の方で見えた。

姉さんだ!


「アルレント譲いましたわ!」


「!本当ですか!」


私とフィアルト王子はその後を追いかけた。


☆☆☆


追い付いたので声をかけようとしたが、隣に誰か居ることに気づいて、咄嗟に木の陰に二人で隠れた。


ちょっと顔を出して、姉さんの隣に居る人を見た。

!あれって…


「…兄様」


第四王子がボソッと呟いた。そう、姉さんの隣に居たのは、フローズン様だったのだ。

そして、私も声を漏らしてしまった。


「フローズン様…」


良かったです。仲良く話してるみたいです。…あんなに笑顔なフローズン様、初めて見るかもしれない。こんにゃく破棄…コホン、婚約破棄を宣言して、私に相談してる時のフローズン様の顔つきは、真面目な表情でした。だから、よほど姉さんのことが大好きだったんだろう。

…私が探しに行った後、フローズン様も決意して探しに行ったのかな。…でも多分恋が叶って?良かった!

姉さんと話しているフローズン様、嬉しそうにガッツポーズをしてるし(笑)


ホッと、安心して胸を撫で下ろし、心にズキスギと痛む辛さに耐えていると、何か、トン…とあたる音がした。


あれ?何か薄暗くなったような?


そう思い、上を見上げると、すぐ目の前に第四王子の顔があった。


「!?だ、第四王子さ、ま…?」


ニヤッと彼は笑った。


「…兄様、ひどいよね?こんなに素敵な婚約者が居るっていうのにさぁ…」


「ぇ?」


やっと今の状況が理解できた。私、今、王子に捕らえられてる!?いや、正確には囲まれてる?…だって、私の顔の横に、王子の両手が…

私はボンッと顔が赤くなった。


「へぇ?真っ赤になっちゃうんだ…もっと凛々しいかと思ってたけど…。やっぱり俺と一緒だね?表情に仮面つけてる…。」


そう言うと、王子は私の頬から手を離した。そして少し距離を置いてから、真面目な顔つきになった。


「…率直に言うね。俺、君をあの頃、最初に見た時からずっと…」


…あの頃?

私が驚きを隠せないまま、彼が言おうとしていることばに耳を傾けているその時だった。


「おい。何をしてるんだ。」


私達の横から、低い声が聞こえてきた。

二人で振り向くと、そこには険しい顔つきのフローズン様と、心配そうに見つめる姉さんが立っていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ