一
「コホンッ。お、お前……では失礼だな。名前でいうか……メアリージェ。お前との…こ、こんにゃくを破棄したいと…あっ。」
―え?こんにゃく?
☆☆☆
皆様どうも初めまして。私メアリージェ・ソプラノリアと申します。
…私の名前長いですわよね…私も覚えるのに苦労致しましてよ。
横文字カタカナってどうも苦手で…英語の点数も悪かったし。
―?あ。はい。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は前世の記憶を持っています。
簡単に成り行きを説明すると、私の姉と買い物帰りに信号を渡っていたら、信号無視のトラックに跳ねられ私達は亡くなり、そして気付けばこの世界に生まれてきたって感じですかね。
ここ、乙女ゲームの世界らしいです。
乙女ゲームって多分、自分が主人公になって、攻略者の人と恋して両思いになるってゲームでしたよね?
えぇ。私の姉が大、大、大好きなゲームでしたよ。しかもその話を延々と話続けられました。
え?その後姉はどうしてるかって?いや、ちゃんとこっちの世界で生まれて、ヒロインになりましたよ?ヒロインに。
だからもー大変でしたよ?私が私だってばれたときは。
『聞いて聞いて!もぅ、今スッゴイ幸せなの!だって、好きなキャラが私の目の前に来て話すんだよ!!キャー♥もう耳が幸せすぎる…本当に幸せすぎる~!』
これをずっと永遠ループ。
あれは、外見は美少女なのに中身が姉なのが勿体無いなと思いましたね。(((姉はふわほわしてますが、本当はしっかりしていてとても優しいんです。だから私はひそかに姉さんに憧れています。
…おっと、失礼。話が大分反れてしまいましたね。
では、私の自己紹介は終わったので、皆様続きをどうぞ。
☆☆☆
…これは、これはなんと反応すれば宜しいのでしょうか!?
私は咄嗟に俯いてから頭をフル回転させ、考えました。
あの方が仰った事をそのまま受け止めるのは、やめた方が良いと思いますわね。
私の婚約者(政略結婚。まだ結婚してないから婚約者の王子)が
わざわざ、自分の両親(王様と王妃様)がいるところに、私を連れてきたというのに、『こんにゃく』の話が出てくるとは、想像がつきませんわ。
…となると、その発音に似ているもの…
―もしかして、婚約破棄でしょうか?
それを、緊張のあまり、噛んでしまったーと、言うわけですか。
多分…いえ、あの方なら有り得ますわね。
うーん…ですが、この事が解ったところで、私はどうすれば良いのでしょう?話に合わせるべき?それとも、間違いを指摘するべき?
…悩みますわね。
私はチラッと王様と王妃様を盗み見ました。
…案の定、やっぱり笑うのを堪えてられてましたわ。
王様は、口元を真一文字に結び、真面目な顔つきに見えるが、よくよく見ると、手元がプルプルと震えています。
そして、王妃様は、口を手で抑え、必死に笑い声を抑えています。
私はさらに悩みます。
やっぱり、話に合わせた方が良いのかしら…?指摘するより、合わせた方が、王子の恥ずかしさが経ると思いますし…
ですが…後からばれると余計恥ずかしさが倍増するのでは?やっぱり(以下略)
…―よし。決めましたわ。やんわりと、指摘していきます。
私はパッと顔を上げ、王子に話しかけました。
「フローズン様、こんにゃく破棄とは、どういう事でしょう?まさか、こんにゃくがお嫌いなのですか?」
「…え?あ…えっとそ、そう!そうなんだ。」
噛んでしまったことで、赤くなった顔を、第三王子はまた凛々しい顔に戻した。まるで『こんにゃく破棄』を最初から言うはずだったように涼しげに。
…え
私は予想外の返事に口を開けてしまいました。
「あの噛むとプニョンって感じが苦手でな。そ、それで、苦手を克服するためにーえっと…つ、妻となるメアリージェとお父様とお母様に相談しようと思ってだな…」
・・・と、辺りに沈黙がはしったのがわかった。
2017 3/30 追記
ちょこっと編集しました!というか全話を色々と編集しました!
(*`・ω・)ゞまた誤字脱字、気になったところなどがあれば、コメントによろしくお願いいたします!
☆おまけ
(全部小声です)
王様「あいつ…誤魔化しおった…クッwわが息子ながらよくあの間違いから乗り切ったものだな…メアリージェ譲の話題に乗っただけだが…だ、駄目だもう笑いがw」
女王「あ、あなた、耐えるのよ…まだ、まだ駄目です!滅多に私たちに頼みを言わなかったあの子に頼まれているでしょう?『メアリージェの気持ちを確かめるために協力してくれ』って…だ、だから私たちが笑ったら雰囲気がぶち壊しで…フフッw」
王様「お、お前だってもう堪えきれてないだろう!www」
女王「フフフwま、まさかあの冷たいフローがねぇ…随分彼女に、…でもこんにゃくってwこんにゃく嫌いってw」
王様「幼い頃好き嫌いなかっただろうあいつwww」