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ちるはなふるゆき  作者: 捨石凞
プロローグ 散ってしまった花たち
8/35

柳、勇者はじめるってよ

久しぶりの投稿です。

不定期ですいません。

 次の日、登校拒否することなく普通に学校へ登校した僕は、イナジュン達に挨拶する。

「おはよう」

「……誰だお前?」

 ガーン、覚えられてなかった。

 イナジュン、見た目からしてバカそうだから1日会った程度じゃ忘れちゃうのか……

「嘘だよ、嘘。ちゃんと分かってるよ恭也」

 良かった、覚えてくれてたようだ。というか、悪ふざけは良くないよイナジュン。危うく鬱になりかけたよ……

「順太、そういうのは性質が悪いからやめろ」

 イナジュンの悪ふざけを諌めるカケル。

「いいよ、カケル。イナジュンの人間性は出会って3分で理解したから」

「そうか、こんなバカだがいいところもあるにはある。だから見捨てないでくれると助かる。しかし……」

 カケルは言いにくそうな顔をして、

「その言い方はまるでエー……」

「おっとそこまでだカケル君。僕たちは健全な青少年なんだから、発言には十分注意がいるぞ」

 危ない危ない、何を言おうとしてるんだ。危うくじゅうは……ゲフンゲフン、僕も口が滑っちゃったじゃないか。気をつけてくれたまえ、チミ。

「お前ら……当人の目の前で好き放題言いやがって」

 イナジュンが僕らのことを睨んでいた。

 だってしょうがないじゃないか。おっと、これは自然に口から出ただけであって、決してネタではないぞ。本当だぞ。

「仕方ないでしょ。元はと言えば、アンタが悪いんだから」

 イナジュンの後ろからやれやれ、といった感じでセツがやってきた。

「おはようセツ」

「あ、恭也おはよう。良かった……」

「?」

 セツは僕の顔を見て、安心したような顔をしていた。

「どうしてそんなホッとした顔をしているの?」

「前にね、初日だけ出席してそれっきり来なくなっちゃった子がいたの。恭也もその……小森さんに冷たくされて来なくなっちゃうかもしれないって心配してたから」

 どうやらセツなりに僕のことを心配してくれていたようだ。うーん、イナジュンとは比べものにならないくらいの配慮、いやまったくもって素晴らしい。

「大丈夫だよ。僕はちょっと冷たくされたくらいで来なくなるような心の弱い人間じゃないから」

「うん、よかった」

「……あのー、みなさん俺への対応が冷たくないっすか?」

 たまりかねたようにイナジュンがそう聞くと、

「え、気づいてなかったの?」

「当然だろ!」

「バカじゃないの?」

 みんなで同時にけなしていた。

「ひ、ひどい……というかセツ! お前のは単純に罵倒してるだけじゃねぇか!」

「だって事実だし」

「このやろ……」

 こんな感じで今日も進んでいくのかなと思っていた。

 しかし、それは大きな間違いであるとすぐ気づくのだった。


 ソレは突然やって来た。

「たのもーーーーーーーーーーーー‼︎」

 教室の入り口から大声というより叫び声が響いた。

 え、なに? なにごと?

 僕が慌てていると思ったのか、カケルが説明してくれる。

「恭也、そんな動揺することないよ。あの人もウチのクラスだから」

「え、ええー」

 そのクラスメイト(?)はズカズカと教室に入ってきて、あの無口ゴスロリの小森さんに声をかける。

「やーやー、 魔女小森! 今日も相変わらず魔力を放ってそうな顔をしてますなー」

「……」

 さすが小森さん。こんなに大きな声で呼ばれているのに全くの無反応とは、ここまでくると尊敬ものです。

 そんな対応をすると分かっていたのか、声をかけた本人は特に気にすることもなくそのまま通り過ぎる……と思ったら僕たちの方へやって来た。

「やーやー、いつものお三方じゃないっすか! ごきげんうるわしゅう、ボンジュー」

「お、おはよう柳さん」

 完全に引き気味のセツが柳さん(?)に挨拶する。これはイナジュン以上にウザいな、正直関わりたくない。

「おはよう」

「ウッース」

 僕以外の二人が適当な挨拶をする。そして、柳さん(?)と目があってしまった。

 し、しまった〜来るな来るな来るな来るな来るな関わりたくないんだよ!

 必死に心の中で神にお祈りするが、こんな時しか神に頼らない不信心な者の願いなど聞かないのか、柳さん(?)は僕の目の前に来てしまった。

「むむ? 君、見たことない顔だね。ひょっとして転生者なのか?」

 そう、僕は転校……ん、転生者?

 なんじゃそりゃ…と思ってたら、勝手に話が進んでいた。

「やっぱりそうか! やっと僕の仲間が欲しいって願いを叶えてくれたんだね神様! アーメン」

 なんか勝手に祈り出しちゃったよこの人! というか誰か助けて!

「柳さん、とりあえず落ち着いて! この人は転生者じゃなくて転校生だよ」

「〜♪〜♪〜♪」

 セツがフォローしてくれるが、目の前にいる暴君は聞く耳を持っておらず、なんだかよく分からない舞を踊っていた。まさに暴君、おそろしや。

「えーと、とりあえずこの人のことを聞きたいなーと思うんだけど……」

「え、ああそうね。こんな状態じゃ自分で言わないでしょうし……」

 はぁ、とセツはため息をついて、仕方ないなというように紹介してくれた。

「彼女は柳散っていうの。見ればわかると思うけど、そのちょっと思い込みの激しい子で……」

「セツ、無理しなくていいよ。初対面の僕でもそれは大体分かったから」

 僕はセツの説明で柳さんのことについて一通り理解した。

 なんとかやっていけそうと思った矢先にとんだ怪物が現れてしまった。

 これは面倒なことになってきたな……




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