87 心配・・・
翌日,私達は,4人で連れ立って食堂へ移動した。途中でウィンやヴェッターと一緒になる。二人ともなんかいつもと違うね。私が座ろうとしたら,争って椅子を引いてくれるしさ・・・定食も持ってきてくれたよ。なんだ?グローサーもやってきた。2人の私への接し方見て変に思ったみたいだよ。
「ウィン,グローサー。どうしたんだ?」
ちょうどそこにブラウがやってきた。相変わらずのおばあさん姿。だんだん板に付いてきたよねえ。カップのスープを渡すフリして,何かをスシュに渡してた。ウィンにも。なんだろう?
「今日の昼。」
ウィンがつぶやく。
「?」
「奪還する」
「もう城には息のかかっている者はほとんどいなくなった。ということか。」
「そうだ・・・」
言葉少なく頷く。
「全員を広間に集めての決行となる。」
「助けは?」
「頼む。」
それから細かいところを詰めるために,またローティ達のお部屋に集合したよ。
「・・・というわけだ。」
「なるほど。」
「え・・・俺を?」
「そうだ。グローサー。おまえは俺の部下と言うことだ。」
グローサー目がうるうるしてるよ。
グローサーは,これからこの国の王子の腹心の一人として活躍することになるんだね。よかった。グローサーは,
「ユウとスシュは?」
私達の心配をしてくれるんだ。ありがとうね。
「俺たちはこの国の者じゃない。この国を救うためにいるだけだ。」
おお・・スシュ。かっこいい。
「ああ。そうだな。全てが解決した折には,おまえ達の国の事やらなにやら全て話して貰うからな。」
・・・・そういえば,市井に紛れ込んだカッツエはどうしたんだろう。まだ城にたどり着いてないんだけど・・・全然連絡も取れないし・・・どうにかなっているんじゃないかな。心配だ。
・・・・
その日の昼近く,城に残っている者は全て大広間に集められた。
ざわつく人々の前に,王が姿を現した。
「皆の者。わしはこの国の王じゃ。」
・・・・・
・・・・・
一瞬の静寂の後のどよめき・・・
「わしは長らく幽閉されてきた。」
・・・・どよめき・・・
その後,この国は再び王家の手に戻ったこと。全ての人達にそれを知らしめ,不当な扱いを受けていた町や村の人々に救済の手をさしのべること。その手助けをして欲しいことなどが伝えられた。
・・最後は皆手を振り上げて王の名を口々に叫んでいた。
ウィンが王子として紹介されると,知り合い達の中にはさらにどよめきが生まれた。私達は王の近くに立ち,周りおさりげなく見張っていたけど,王の目にかなった,この城に残った者達は,皆王に忠誠を誓ったようだったよ。
それから,それぞれの地域に分けられて,王命の用紙が渡され,自分たちの地区に帰る手配を済ませたよ。城のある町に住む者達は,そのまま王宮の警護に当たるんだって。グローサーは,そのトップと言うことになる。
用紙には,魔力が込められている種を持つ者に見せると,種が用紙に惹かれて体内からでようとするんだ。当然。種を持つ者は倒れる。それを回収に私達が飛ぶって訳。忙しくなりそうだね。多分その中に元凶の者もいるのではないかと言うことだった・・・
「二人一組で行動せよ。わしとブラウは一人で大丈夫じゃから,スシュとユウ,バルとウサミで行動しろ。何かあった時に一人では対応しきれないからな。ウサミはそろそろこっちに来る頃じゃろうから・・・車ではスシュとユウバルの3人で行動すればよい。」
「わかった。でも」
・・・
「でも?」
「カッツェはどうしたんだろう?何にも連絡がないから心配なんだ。」
・・・・・
「わしも心配じゃ。奴が捕らえられた・・・と言うことも考えられるからのう・・・」
私達は黙って顔を見合わせた。陽気な猫。カッツェ。どこに?




