83 箱の中の人・・・
・・・・・
ガラスの箱は開けられ,はかなげな人が・・・あれ?この人・・・女?男?
中性的な感じがする人。綺麗だね。
「この者は姿を変えられているようだな。」
あれ?
「さっきはそんなこと言ってなかったじゃないの」
「箱のせいでゆがめられた情報が出ていたようだ。」
学長先生も言う。
「でも。ローティはこの人を触ってるよね?」
「球に触っただけじゃよ。」
なるほど。
「龍は万能ではない。」
そうでしたね。
「万能には近いかもしれぬが。」
・・・・
「球?」
学長先生が聞きとがめる。
「ああ。この者が胸に抱いていたモノだ。」
「見せていただけますかな?」
・・・・
「これは・・・」
「「「なんなんですか?」」」
「ズィーゲなら分かるかもしれん。ユウミさん。君の持っている石の親子石か兄弟石のように見えるからね。」
ズィーゲ先生は一瞥しただけで,
「それは偽物。でも,何かの作為を感じる。もしかしたら,碧い石もあって,ローティとブラウが彼の国に味方していると思わせるためかもしれない。」
って言って,またあの人の方に戻っていく。その後ろ姿に,
「・・・つまり,青の魔法使いと紅の魔法使いが,向こうの見方になったと思わせ・・・」
と話しかけた。
「我が国や他の国々の戦意を喪失させ・・・自国民や,味方に引き込んだ属国の人々に安心感を与える・・」
学長先生が後を引き取って話は終わった。
「それって・・・」
「ユウミさん。スコティッシュ,我が国に赤き魔法使いと青き魔法使いがいることを他国に知らしめてもしても良いかな?」
・・・
「俺は・・・いいぜ。」
「私だと分からないようにしていただければ。」
スシュが私の方を見た。
「何で分からない方が良いんだ?」
「学校に戻った時のことを考えてみただけ。」
・・・・・
・・・・・
「なるほど・・ツィーゲン先生。俺も正体は隠すわ。」
「あんたは,悪いことするとき,青の魔法使いが悪いことしようとしてるって周りから言われるから,確かに正体を隠すことは必要ね。」
スシュがわたしをどつく・・・ 痛いなあ・・・荒っぽい生活してたら,乙女生活を忘れちゃったよ。まったくねえ・・・
ふと顔を上げたら,スシュのおばあさんと目が合った。おばあさん。にこにこしてるね。
「こっちに来て。」
ズィーゲ先生が私達を呼ぶから,皆で箱から立ち上がって,箱から出てきた人の近くに行った。ズィーゲ先生とボルフ先生が,ふかふかのソファーにその人を座らせている。
「お父さん。何か食べるものの手配をして。」
「おお。そうじゃったな。」
ツィーゲン先生はあたふたと部屋の隅にある通信機械を使って誰かに食事と飲み物の手配を頼んでいた・・・確かにもうお腹が空く時間だよね。
後ろからズィーゲ先生が,
「病人食も1つね。」
って。学長でもあり、お父さんでもあるツィーゲン先生をあごで使ってるよ。この人・・・お父さん。可哀相かも・・・
読んでくださってありがとうございます。
時々混乱していることもありそうです。お気づきの点をお教え願えると嬉しいです。
次回は23日の予定です。




