80 しまった・・
少しの仮眠の後,朝食を摂りに食堂に行った。普段の半分以下になった食堂は閑散としている感じだね。ローティ達と私達5人は,さりげなく背中合わせに座って言葉を交わしている。
『食事の後、我らの部屋に来てくれ。』
簡単な言葉の交換だね。私は頑張って朝食を食べる。最近ようやく殺人的な量を食べきることが出来るようになってきたんだ。私もよく食べる方だとは思ってたけど,ここの食事の量は本当に半端ない。
『食えるようになってきたな。』
ローティ・・・それ・・・褒めてるの?
ローティ達の部屋に行く。4人でこれからのことを相談するためだ。
移動の方法や,ここに戻ってくるか来ないかなどの細かいことを話し合う。
「ドンケハイツさえ倒せば,すぐ国に戻って良いんじゃねえか。」
と言うスシュ。
「でも・・・この国と友好を結びたいなら,ここに戻って来た方が良いでしょう。」
と言うボルフ先生。
「私はボルフ先生の賛成だな。ローティは?」
「わしらははっきり言ってどうでも良いのじゃ。ただ,ユウとスシュが望むがままというところかのう。」
・・・
「だけどよ。いつになるか分からねえんだぜ。いつまでもここにいたら・・・」
「ドンケハイツのところなら,スシュのお母さんやお父さんのことが良く分かるかもしれないじゃ・・・」
スシュが顔色を変えた。あたしは慌てて口を閉じた。
「ユウ,おまえ・・・」
しまった。失言だ。
「誰からの情報だよ?ああ?」
「ちょっと,893じゃあるまいし。すごんでみせるのはやめてよ。」
「893ってなんだよ?おまえ,どうも前から変だと思ってたんだ。おまえ,本当は何もんだ?」
・・・・・
私は黙ってしまった。ティガーノさんやジルのことをすっかり忘れていた自分を思い出してしまった。彼らも心配しているんだろうな。お父さんやお母さんも・・・心配しているに違いない。帰りたい。
「私は家に帰りたいだけだよ。」
「なに?」
「だから,家に帰りたいの。」
「それがどうした。」
ああ,もう!!!!
「あなたが幸せにならなければ,私は家に帰れないのよ!!!」
もうやけくそ。
何,その鳩が豆鉄砲を食らったような顔は!!!
・・・・・
何で赤くなるの?
「ユウミはスシュを幸せにするためにいるのか?」
ボルフ先生が聞くから,
「そういうことになるよね。」
って答えるしかないよね。
ローティが,
「いいではないか。今は,ドンケハイツのことだけを考えて。後のことはまた後で考えよう。」
って言わなければ,この微妙な空気はそのままだったんだろうな。




