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むかつくあいつは・・・・・  作者:
第1章 出会い
8/100

8 出会い 

私は廊下をベアーズ先生の後にくっついて歩いている。その後ろにはボルフ先生が歩いている。何か連行されてるみたい・・なんかやだな・・・どこかで見たドラマみたいだ・・・


教室の前に来ると,ベアーズ先生がまず, 咳払いをしたんだけど,その音が中に聞こえているのかな。教室の中はさざ波が引くように静かになっていく・・・・面白い・・・


ベアーズ先生がおもむろにドアを開けた・・・・と・・

「おはようみなさん。」

中に入ったベアーズ先生に,

「「「「「「おはようございます,ベアーズ先生」」」」」」

と言う声が返ってくる・・・大きな声だ。あれ・・・フローの声も混ざってるのが分かった。凄い。耳が良くなってるのを実感しちゃう。


「さあ。」

 ボルフ先生にせかされ,私も教室に入った。うわ・・・一斉に自分に視線が注がれるのが分かっちゃう。五感が鋭くなる・・・確かに。このことからも実感出来ちゃうね。



「皆さん。今日は先日お話ししました,転入生を紹介しますよ。」


この辺は型どおりだね。

「竹尾 ユウミです。よろしくお願いします。竹尾が姓で,個人名はユウミです。ユウミと呼んでください。」

ほんの少しのざわつきの後,私は一番後ろの空いている席に着くよう言われた。

 後ろか。いろいろ観察出来ていいかも・・・。


 一ヶ月特訓を受けたとは言え,勉強については・・・・・まあ・・・・・元々私はあんまり勉強は好きじゃないし・・・・ついていければ・・とりあえずよしかなあ・・・


・・・・・

 

お昼までは,トイレ以外誰も席を立たなかった・・・なんて忍耐強い人たちなんだろう。驚きだよ。私語もほとんどないし・・・先生の話す声とかりかりと書く音,時たま質問する声だけが,教室に響いてるんだ。

 話し合うこともなければ,反論も活発な意見発表の場もない・・何か怖い位の静寂・・



 ようやく昼休みになった。ほっとする。これ以上この空気に耐えられそうもないんだもん。

フローとタップがやってきて,食堂に行こうって言ってくれる。よかった。話しかけてくれる気はあったんだね。他にも何人かの子がやってきて話しかけてくれる。ちょっとほっとする。


 食堂で並びながら,辺りをうかがうと,結構おしゃべりの声は聞こえるし,楽しそうな笑い声も聞こえている。普通の高校と同じだ。でもあの午前中の静寂は何なんだろう?

 お昼の定食を食べながら疑問をぶつけると,2人はケラケラと笑った。

「いつものことだよ。」

「そうそう。」

「意見を言うことも,話し合うこともないの?」

「意見って?」

「話し合いなんてなんになるの? 分かってることを教えてもらうだけで十分だわ。」


・・・・・この世界では,話し合うことがない?それって・・・やたら話し合い話し合いって言ってる私達の世界と違って,楽と言えば楽なんだろうけど・・・それでいいのかなあ?

「なんでもはいはいって聞けばいいってことでしょう? それで本当にいいの?」

二人は黙ってしっと指を口に当てた・・・この辺は同じだな・・・なんてのんきに思っていた私・・・


「何か面白そうな話をしているじゃあないか。」

後ろから冷ややかな声がする・・・

フローもタップも黙って黙々と食べる。私は・・・目を伏せて黙って食べる・・


 声の主は,私の隣に乱暴にどんとお盆を乗せ,座り込んだ。

「で。おまえが2ヶ月遅れの新入生ってわけなのか?」

私は顔を上げてそいつをまじまじと見た・・ううん。スコティッシュの特徴の垂れ耳・・・オッドアイ・・・この辺はジルによく似ている・・・

「あんまりいい男過ぎて声もでねえか?」

いやいやいや・・・

「名前も知らない人とは,しゃべっちゃ駄目っって言われてるからね。」


それっきり黙って食べている私に,

「ちっ」

って舌打ちの音を残してお盆ごと立ち上がってどっかに行っちゃった。何だろう全く。


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