76 目に涙・・・
巨人の目は,ウィンに向いていた。ずっと追ってる・・・何だ?
『あれ?』
巨人の目から涙が出てるよ・・・
『これは?』
何なんだろうって続ける前に,ウィンの方に巨人の手が伸びる・・・そこにヴェッターが飛び込んできて,剣のさやで巨人に触れた・・・
え?
巨人が消えた・・・後には壮年の男性・・・
・・・・
「まさか・・・」
「父上?」
慌てて周りに聞こえないように魔法をかける気配がする・・・
ウサミさんがお茶を空中からとり出して,
『飲んで。』
と言った。ウィンが,
『早く。誰か来る前に』
と即しているね。怪しいお茶だって思うだろうけど,王はそのまま素直に飲んだよ。
・・・
『巨人の代わりに何か置かないと行けないんじゃないの?』
『影を置く・・・』
ローティが影を出した・・・同じような巨人。
『部屋に戻るぞ。』
王も一緒に壁を進む・・・驚かないね王・・・
食堂に戻ってきた。椅子に座り込んだ王をウィンとヴェッターが膝まづいて手を握っているね・・・グローサーはおろおろしてるし・・・
「さて。どうして巨人になっていたんですかな?」
ローティが聞く。
「ああ・・君たちは?」
「わしはローティ。」
「私はブラウ。」
「私はバル。」
「私はウサミ。」
あれ・・・名乗り場面なの?出遅れちゃったよ。
「私はグローサーと申します。お目にかかれて光栄です。」
私とスシュは顔を見合わせた。
「俺はスシュ。」
「わた・・・僕はユウ。」
しばらくそこでいろんな話を聞いた。そろそろ早番のコックさん達がやってくる時間だというので、王をどこに隠すかと言う話になった。
「簡単よ。私の助手にしちゃうわ。」
「え?皿洗いの?」
「そうよ。」
ウサミさん。簡単に言うね。一国の王を皿洗いとしてこき使おうとは・・・
「その方が怪しまれないわよ。下手に隠れてると変に思われるでしょ。」
「分かった・・・よろしく頼む・・」
王様それで良いんだ。
「あなたの名前を・・そうねぇ・・・フェア・ブラウでいいか。ね,ブラウ。」
「よかろう。私の息子と言うことだな。」
「そういうことね。」
ウサミさんとブラウが二人して納得してるんだけど・・・王は別のことを考えてるのかな?
「フェア?」
名前が気になったみたいだよ。
「文句あるの?」
「いや・・・」
王は,首を降ったよ。ブラウの名前を借りたんだから,うまくいくはずだよ。って教えてあげたいね。教えないけどさ。
「わしが姿替えをさせてやろう。」
ローティがそう言ってなにやら唱えてた。この龍召還主よりよほど出来るよねぇ・・・こんな主人で良いのかなあ?いや。友だちかなあ?あふぅ・・・眠い・・・
「そこの女の子には夜更かしがつらそうじゃの。」
王の声に欠伸がとまっちゃったよ。
・・・
「え?」
「父上。その子は男の子ですよ。」
ウィンが言ってくれたんだけどさ・・
「いやだなあ・・・ははは・・・」
笑いも乾くよね。王はちょっとくたびれた感じのふっくらした男に変わってた。
・・・
「じゃあ我々の部屋に行きましょう。」
「え?」
「女性の部屋ですか?」
ウィンが焦っている。
「ほほほほほ・・・大丈夫よ。2部屋あるわ。」
王はおとなしく二人と一緒に去って行った。
「ありがとう。」
ウィンが泣きそうな声で言った。
「礼は全て解決してからじゃよ。」
って言うローティの声を聞きながら・・・私は眠ってしまった・・・
次回は9日です。




