翌朝・・・
翌朝,私はズィーゲ先生に起こされた。先生はとっくにウサミさんに変わっている。早い。私も慌てて飛び起きて支度をする。
・・・しまった。目覚ましを持ってこなかったんだ。思い浮かべたら,目の前に,ごとって何か落ちてきた。
「ユウミさん。無駄な魔力の使い方は,どうにかした方が良いわ。」
私が無意識に呼び寄せたらしい。
「今はいらないから戻しなさいね。」
・・・・戻す・・・戻すって・・
「呼び寄せる気は無くて・・・思ったら出てきちゃったんです。・・戻すって・・どうやればいいんですか?」
・・・・・ウサミさんはしばらく私を見ていたけど,ため息をついて,
「元のところに戻れって念じてご覧なさい。」
って言ってくれた。なるほど・・・・・
「消えた。」
・・・・
「ユウミさん,魔法は便利だけれど,気をつけないとね。
・・・しっかり腕輪に魔力のダダ漏れを防いで貰っているのに・・・」
「腕輪に?」
「その腕輪・・・そういえば・・・見る人が見れば分かってしまうかも・・・そうだわ。これにも,あなたに敵意を持っている人には見えないように・・魔法をかけておきましょう。」
・・・確かに最近暑いから,腕まくりしてることが多い。何かの拍子に見えることもあるよね。・・・半袖で十分だと思うけど,こっちの人は皆,長袖。めくり上げてるだけ。不思議。半袖って着ないのかなあ?
ぼんやり考えている間に,魔法をかけ終わったみたい。普通に見える。敵意を持った人には見えないか・・・ちょっとスシュで試してみようかな。あいつが敵意を持ってるかどうか・・・やめとこ・・・ほんとに敵意を向けられてるって分かったら,ちょっとイヤだもんねえ。
「スシュも特殊な杖なのよ。見た?」
ウサミさん。
・・・
「首輪のことですか?」
ぷっとウサミさんは吹き出した。
「首輪かあ・・・はははは。チェーカーね。でも首輪ね・・・ふふふ。」
ひとしきり受けて笑っていたんだけど。笑いやんで
「彼のも見えなくしておくわ・・・」
って言ってた。
「そうそう。あなたも偽名を使ってるのよね。なんて言うの?」
って聞くし・・・仕方なしに,
「ミユです。」
って言ったら,
「あら,覚え易くて良いわねえ。」
さよですか・・・スシュが付けたと思うとなんか面白くないんだけどさ・・・
二人して食堂に行く前にスシュ達の部屋に寄った。
ウサミさんが,スシュの首輪(チェーカー・・・どうみてもさ・・首輪だよ。絶対。)に魔法をかける・・・別に見えなくならないなあ・・おかしいなあ・・・私,かなりこいつに対して敵意があるはずなのになあ・・・?そうだ。
「あんた,私の杖が見える?」
「あ?その腕輪か?」
おや・・・こいつも私に敵意を持ってるわけじゃ無いらしい・・・変なの。
ウサミさんが,
「ユウミのもイシュの自分に敵意を持っている人には見えないからね。」
イシュは複雑な顔をしてたね。ふん。
「私達にはちゃんと見えてますよ。」
にこにこしながらウサミさんが言う。
「うん。僕にもよく見えるよ。」
そりゃあ召喚獣に憎まれたら大変だよねえ・・・
5人で食堂に行く。あの二人は?何か疲れた顔をしてるね。どうしたのかな?
スシュは,にやにやして二人を見ていたんだけど・・・何か・・いやらしい感じ・・ふん。
朝食を摂った後,もう一度皆で集まることになったんだけど,
「スシュ達の部屋に行こう。」
「分かった。」
スシュもボルフ先生も,ウサミさんも皆,分かった顔してるんだけど・・???
「そう言えば,ボルフ先生の偽名って?」
部屋に入りながら私が聞くと,
「バルでおねがいしますよ。」
「うん。・・あんまり離れた名前じゃないから覚えやすいですね。で,カッツェは?」
「ミカエルで」
なるほど・・・
で?
「ローティとブラウは?」
「そのまんまでいいぞ。」
そうなの?
「われらは,古い種族故,名前はそうたびたびに変えることはできぬのだ。」
へえ。
「名付けられた名前以外はな。」
ところで,そろそろチェックアウトの時間がやってくる。軍資金の分配をして・・・
「一人ずつに渡してください。」
って言うのを忘れないよ。昨日の失敗は繰り返さないよ。スシュは嫌な顔してたけどさ。昨日のことがあるから黙ってたわ。ふん。
これからが正念場だね。どきどきしてきたんだけど。




