たびだち
小人さんのツェバーク先生が,
「龍から落ちないように手綱を作っておいた。」
って言いだした。手綱って・・・あの手綱?レーティもブラウもいやがるんじゃないの?
「それは良かった。」
え?嫌じゃないの?
「落っことしやしないかとはらはらしているよりは,ずっと良い。」
そんなもんなんですか。
「この手綱は,ちょっとした仕掛けがしてある。」
ツェバーク先生、得意そうだね。
ほう?
「まず,着けるものに合わせて,大きさが変わる。
次に,締め付け感がない。
次に,振り回せば火花が散り,他者を寄せ付けない。」
何か危なくないですかあ?
レーティも,ブラウも早速着けていた。
何かおしゃれなチェーカーって感じだね。そこに房かざりが下がってる。絶対手綱じゃないよね。手綱って口の辺りになんか無かったっけ?まあ・・この辺では違うんだろうけどさ。あ・・・ジルにずっと連絡取ってない。後で良いかな・・
「ついでにテントも作っておいた。」
出来る人だねえ。ツェバーク先生。
「あ・・ありがとうございます。」
「一人用のテントが2つ」
・・結構な荷物の量だよ。
「自分の物は自分で持てよ。」
・・・分かってますよ。
食料とか飲み物とかも半分ずつに分けたよ。この男,女の子をいたわろうって気はないんかい。ついぶつぶつ言っちゃう。
鍋とかそういう物はさすがにスコティッシュが持った。けっこうズィーゲ先生がじろっと見てたからかな。
「食べ物は,いざというとき,一人でも食っていけるように半々にしたんだ!!!」
おや。視線に耐えられなくなったのかな。でも確かにそうだよね。もし,別れ別れになったら困るもんねえ・・
それからグラウンドに出たよ。
レーティとブラウはたちまち紅と碧の龍に変わった。
おおきいなあ。あ・・多分あれが手綱だ。首の周りに幅広いベルトのような物が出現している。そして・・・首の後ろの方に柔らかそうな袋状の物が付いている。これに体を納めておくらしい。へえ・・・
高すぎて乗れませ~んとは言わなかったよ。飛んで上に乗ったもんね。荷物を上手く自分の後ろに置いて,痛くないように,レーティも嫌な感じにならないように慎重に自分の居場所を作ったよ。
あれ・・・そうこうしていたら,何か沢山の人が窓から見ているじゃあないの・・・
「ユウミ~」
何か呼び声まで聞こえる・・・
「スコティッシュ~」
私たちは顔を見合わせた。
「行くぞ。」
「行くよ。」
同時に言ってそれぞれの龍に合図する。
2頭はたちまち空高く駆け上がった・・・




