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むかつくあいつは・・・・・  作者:
第2章 歩く
23/100

23 早朝

次の朝早く,窓をたたく音で目が覚めた。


 カーテンを開けてびっくり。スコティッシュ。慌ててカーテンを閉めた。


「来いよ・・待ってる・・・」


そんな声が聞こえたような気がする。慌ててそっとまたカーテンを開けて見たら,もう向こうへ飛んでいくところだった。

 カーテンを開けたのが分かったのかな・・こっちをちらりと見て,くいって手招きして・・・また飛んでいった。

慌てて着替えたよ。動きやすい服装がいいよね。


 窓を開けて・・・おっと。鍵を忘れちゃだめだわ。首からぶら下げる。靴・・靴っと。


飛び出す。一瞬の後,バランスを保ちながら,飛んでいった方向に向かう。昨日の所だろうな・・・


 向こうに2人分のシルエット。近づいたらやっぱりボルフ先生と,スコティッシュだった。もう二人で訓練してる。ボルフ先生の持っているのは剣だ。スコティッシュは今日は素手だった。危なくない?


黙ってしばらく見ていた。


 ボルフ先生が斬りかかる・・・スコティッシュが横飛びで逃げる・・そこを上から一閃・・転がる・・突き刺す・・ほんとに突き刺さってる・・・うわ・・・一瞬で空に・・ボルフ先生も飛び上がる・・ボルフ先生のはジャンプだね。飛んでるわけじゃない・・・


 しばらくして,ボルフ先生が剣を納めた。

 スコティッシュはフウフウ言って膝をついている・・・


「まだ甘いな。特に左から来るのに弱いぞ。」

 「・・・ああ。左はな・・・」

 「まだ・・駄目なのか。」

・・・ああ・・・

左が駄目って?どういう意味だろうね?


「ユウミさん。」

ボルフ先生が呼ぶので側に行ったよ。


「あなたは棒とか剣とかを振ったことはありますか?」

そんなこと聞く?剣道部とか,フェンシングやってる人ならいざ知らず,平和な日本では,そんなもの必要ないよ。

「ありません。持ったこともありません・・」

そう答えてから,気が付いたよ。やってるじゃない。あれ・・・


「あ・・・棒はあります。バットも振れます。」

そうだよ。素振りならお手の物。


「バット?」

はあ・・バットを知らないんだ。あたりまえか。

「どんな物ですか?」

あれ?興味あるの?

「えっと・・・でも武器じゃあありませんよ。」


地面に図を書いて見せたら,

「へえ・・面白い形ですねえ。何で出来てるんですか?」

ってさらに聞いてくるんだよね。

「えっと金属です。木の物もありますけれど,私たちが使っていたのは金属でした。」



「どんな金属ですか?」

そこ聞くの?

「え・・・え・・・。」

考えるけど。

・・・・

「カーボンとか・・・グラスファイバー ですね・・・」

「どの辺がカーボンですか?」

「そもそもカーボンって何だよ?」

二人に同時に言われたけど・・・


「反発力がある素材なのかなあ・・・うんとねえ・・多分だけど形全体をカーボンで作るんだよ。それを薄い・・・別の物で全体を覆うんだと思うんだ。それがグラスファイバーなのかなあ???

 私も良く分かんないけど・・ジュラルミン製のもあるそうだし・・・ 」


「よく分かりませんが,この棒を振ってみてくれませんか?」


 うん・・・振り方なんて分かんないから,バット振るみたいにスイングしたけど・・・・

「これ・・・しなりませんね。」

私が言ったら,

「しなる?」

そう聞くんだよね。

「ええ。ちょっと反発力がない感じ。」

ほう・・・しなるって・・・


「ユウミの振り方,変な形だな。」

五月蠅い奴。

「すみませんねえ。これしか知らないもんだから。」

そう言ったら,

「そんなんじゃ対抗できねえぞ。」

って言うんだ・

対抗って・・・


「ああ。すっかり日が昇りましたね。二人とももう帰りなさい。朝食の時間ですよ。」


おっ。

私は慌てて

「はい。また後で。」

って言って飛び上がった。


「待てよ。」

って何?

「まだ何か?」

側に近づいてきて声を潜めて聞いてきた。

「紅の魔法使い・・・分かったか?」

私は飛びながら,

「まだよ。誰も教えてくれないもん。」

っと言った。

「ふうん。」

寮だ。

「じゃあね。」


ふいっとスコティッシュは向こうの方に飛んでった。

礼儀知らずの奴。


私が窓から入るのと,目覚ましが鳴るのは,一緒だった。うん。

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